人気が急上昇したアニメやドラマのグッズがたくさん売れるようになると、
『〇〇(アニメやドラマの題名)バブル』
というふうにニュースや雑誌で取り上げられますよね。
人気が高いものは「バブル」とよく呼ばれていますが、このバブルとはどのような仕組みなのでしょうか?
また、バブルと聞くと1990年頃の日本を思い浮かべる人が多いと思いますが、どのような経緯でバブル経済が発生してなぜバブルが崩壊したのでしょうか?
今回は「バブル経済の仕組みlと、「バブル〜バブル崩壊がもたらす影響」について解説していきます!
そもそも「バブル経済」とは?
バブル経済(bubble economy)とは、株や土地などの資産価格が実際の価値以上に高騰する状態を指します。
「バブル=泡」の通り、実体のない期待や熱狂で資産価格が膨らみ、最終的にその泡が弾けるように急激に価格が下落する現象が起こります。
ここまでの説明だと、バブルは大したことないように思えるかもしれませんが、一度バブルが崩壊すると、投資先として大金を払って購入していた株や土地の価値がほとんどなくなるので破産する人がたくさん現れ、銀行は貸したお金が返ってこなくなるので倒産します。
このように、バブルが起きてそのバブルが崩壊すると、経済が大打撃を受け一気に不況になってしまいます。
バブルが起きる主な原因
バブルやバブル崩壊について説明しましたが、そもそもなぜバブルは発生してしまうのでしょうか?
それを解説していきます。
- 低金利政策
- 過剰な楽観ムード
- 金融機関の過剰融資
低金利政策
中央銀行が低金利政策を行なっている場合、借り入れコストが低くなるのでお金を借りやすくなり、投資や投機に資金が流れやすくなります。
デフレなど不景気な時に金利を下げることで経済を活性化させることができますが、通常時〜好景気時に金利が低い場合、お金を借り入れて投資へ回すようになり株価や不動産価格が上昇します。
過剰な楽観ムード
社会全体で株や不動産への投資が活発になると、「まだ価格が上がる」と考える人が増え、実際の価値を超えて価格が上昇していきます。
また、バブル時では「投資をすれば儲かる」状態が続くので、普段投資をしない層が投資を始めるなど過熱していき、よりバブルが進んでしまいます。
金融機関の過剰融資
バブル期の日本のように、銀行が土地や株を担保に大量にお金を貸すようになると、資産価格がさらに膨張していきます。
「土地や株を担保にお金を借りる→投資する→利益が出るのでさらにお金を借り入れて投資する」のように、雪だるま方式で投資が増えていきます。
最古のバブル経済とは
記録されている世界最古のバブルは、17世紀のオランダで起きた「チューリップバブル」だとされています。
オランダといえばチューリップを思い浮かべる人も多いかと思いますが、チューリップはトルコや中央アジアが原産です。
16世紀ごろにオランダに持ち込まれ、当初は高価な花として贈り物などに使われるなど高値で取引されていましたが、17世紀にはオランダ国内で栽培が始まりました。
珍しい品種のチューリップは非常に価値があり、その品種の球根も高値で取引されていましたが、「貴重な品種のチューリップはまだまだ価値が高まる」と期待した人たちが次々と貴重なチューリップの球根を買い求めるので、さらに価値が高まっていきました。
このように、貴重な品種のチューリップの価格が急騰し投機が熱狂的に行われるようになり、一部の品種は家や土地と同等の価値にまで高まりました。
しかし、チューリップブームは突如終わってしまいます。
チューリップを買い求める人たちが激減してチューリップの価格が暴落し、バブルが崩壊しました。
この時、高値でチューリップを購入していた人は大損をし、多くの投資家が破産してしまうなど経済に打撃を与えました。
この他にも様々な国でバブルが発生しているで、いくつか紹介します。
その他の有名なバブル
- 「南海泡沫事件」(18世紀前半)
- 「ウォール街大暴落」(1929年)
「南海泡沫事件」(18世紀前半)
「南海泡沫(South Sea Bubble)事件」とは、1720年に起こった「南海会社(South Sea Company)」の株価大暴落をきっかけにイギリスの経済が大混乱に陥った事件です。
「南海会社」はイギリスの大蔵大臣によって「スペイン領中南米との奴隷・商品の取引」や「国家財政の再建」を目的として設立された会社で、「中南米での奴隷貿易の独占権を与えられたこと」や「ほぼすべての国債をこの会社が引き受けること」になったので、この会社の株価が急騰しました。
南海会社の株価高騰をきっかけにイギリスで熱狂的な株式ブームが起き、それに乗じて実体のない会社(泡沫会社)も乱立されました。
しかし,南海会社がほとんど利益をあげていないことが判明したことや、泡沫会社を制限する法律が制定されたことで株価が大暴落し、バブルが崩壊しました。
物理学者や天文学者で有名なアイザック・ニュートンも、この「南海泡沫事件」で大損をしています。
「ウォール街大暴落」(1929年)
1920年代のアメリカは好景気で、ニューヨーク株式市場では未曾有の株式ブームが起こり、1921〜1929年の間にダウ平均株価が5倍以上跳ね上がりました。
しかし、このニューヨーク株式市場で起こった平均株価の上昇も実体とはかけ離れたものであったため、その結果株価の暴落が起きてしまいます。
1929年の株価の暴落から1933年の間に株価が最大90%減少し、失業率が25%になり、全体の30%の銀行が倒産するなどアメリカ経済に大ダメージを与えました。
アメリカで起こったウォール街大暴落は世界中に影響を与え、「世界恐慌」へと進んでいきました。
日本のバブル崩壊〜現在まで
ここまで、「バブルの仕組み・原因」や「実際に起こったバブル」について解説してきましたが、日本で起こったバブルはどのようなものであったのでしょうか?
① 日本のバブル経済の始まり(1980年代後半)
② バブル崩壊(1990年前後)
③ バブル崩壊以降のデフレ経済(1990年代〜現在まで)
① 日本のバブル経済の始まり(1980年代後半)
日本のバブル経済の始まりの背景には、ドル高によるアメリカの貿易赤字が関係しています。
1980年代は過度なドル高でアメリカが貿易赤字に苦しんでいたため、1985年にアメリカの呼びかけでアメリカのプラザホテルにG5(アメリカ、日本、イギリス、フランス、ドイツ)の大蔵大臣(財務大臣)や中央銀行総裁が集められ、ドル高の是正を目指す「プラザ合意」が発表されました。
「プラザ合意」を受けてドル安になった反面、他のG5各国の通貨が高くなり、日本も急速に円高が進んでしまい、輸出の減少など不景気になってしまいます。
1987年には過度なドル安の進行を抑えるためにG7による「ルーブル合意」が発表され為替相場は安定しましたが、円高不況に対する懸念もあり、日本は低金利政策を継続しました。
円高による不景気に苦しんでいた日本は、低金利政策や企業が円高のメリットを享受したこともあり国内景気が回復しましたが、景気回復後も低金利のままだったので企業は借り入れたお金を設備投資などの事業の他に、株や土地に投資をするようになります。
その結果、1980年代後半には日本の土地と株式の価格が異常なまでに上昇しました。
企業は事業による利益の他に投資による利益で儲けるようになり従業員の給料が上がるなど、バブルによって日本の景気はさらに良くなっていきました。
② バブル崩壊(1990年前後)
バブルによって土地の価格が高騰したため、不動産業者の土地の地上げによる立ち退きが起きたり固定資産税や相続税が払えなくなって家を手放さなければならない人が増えるなどの社会問題が起きるようになりました。
このような問題を解消して土地や株価を元の適正価格へと戻すために、1989年に日本銀行は金利を引き上げ、政府は新たに土地に関する法律を制定しました。
しかし、この政府や日本銀行の動きによって「土地や株の投資で稼げなくなるかも」と土地や株を買いたい人が一気に減り、反対に「地価や株価が下がる前に売ってしまいたい」と土地や株を売りたい人で溢れるようになりました。
こうして1990年に株価と地価が急落し、バブルが崩壊しました。
企業は巨額の借金を抱え、さらに借金の担保にしていた土地や株の価値も下がったため、銀行側の貸し出しも縮小してしまいます。
こうして経済は一気に冷え込み、日本は長いデフレ社会へと進んでいくことになります。
③ バブル崩壊以降のデフレ経済(1990年代〜現在まで)
バブル崩壊後、
- 企業・・・「借金を減らす」ことを優先し、投資や採用を控える。
- 銀行・・・価値のない担保を多く抱えてしまったため融資を控える。
といったように社会全体が消費を控える状況になったため、「給料が上がらない → 消費が減る → さらに物価が下がる」というデフレスパイラルに陥ってしまいました。
さらに、1990年後半にはアジア通貨危機や山一證券の破綻などもあり、企業や家計の不安心理はさらに悪化し、日本経済は「お金を借りない・使わない」デフレの社会になってしまいました。
政府が行ったデフレ対策の中でも特に有名なのがアベノミクスです。
- 大胆な金融緩和
- 機動的な財政政策
- 民間投資を促す成長戦略
アベノミクスはこの3つの政策を軸に、デフレ時の少ない需要を「金融・財政政策」によって作り出すことで景気を回復させて、2%のインフレを目指すという政策です。
デフレの脱却を目指したアベノミクスは、大規模な金融緩和や公共事業の増加により極端だった円高・株安の改善や企業の雇用の増加などの効果はあったものの、同時期に行われた消費税の増税により思ったほどの結果にはなりませんでした。
その後もマイナス金利政策などのデフレ対策によって一時的にインフレ傾向にはなるものの、2020年以降もデフレから脱却できていない状態が続いています。(2022年以降、物価高などインフレ傾向ではあるものの、政府の見解としてはデフレ脱却には至っていません。)
まとめ:バブル経済から学べること
バブル経済とは「実体以上の期待」が膨らんでいき、やがて崩壊して社会全体に大きな損失をもたらす現象です。
バブルが崩壊すると企業や金融機関が倒産してしまうので、経済に大打撃を与えます。
また、バブルと聞くと「経済用語であまり分からない」と感じるかもしれませんが、実はバブルは現在の私たちの生活に密接してます。
近年、一時的にバズって人気が出て商品は売れるものの、数ヶ月〜1年ほどで落ち着く現象をよくみますが、これも一種のバブルです。
熱中している時は高い金額を払ってでも欲しいと感じてしまいますが、ブームが過ぎてしまうと価値が下がった商品だけが手元に残ってしまいますよね。
このように、ブームとバブルは非常に似ているので、日常の中でもちょっとしたバブルを感じることができます。
皆さんも、バズっている商品を欲しくなった時は「本当に価格相当なものなのか」を考えることで損をするリスクが下がるのでぜひ試してみてください!



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