最近、
「住宅価格が高くなっている」
「地価が上がっている」
といったニュースをよく目にしますよね。
特に東京などの都市部ではマンション価格が高騰し、マイホームの購入が難しくなってきています。
でも、なぜ土地や住宅の価格は上がったり下がったりするのでしょうか。
実はこの土地や住宅価格の問題は、経済学の基本概念である「需要と供給」の考え方で説明することができます。
今回は、宅地価格と需要曲線・供給曲線の関係をやさしく解説していきます。
宅地価格とは

宅地価格とは、住宅を建てるための土地の価格のことです。
一般的には「地価」や「土地価格」と呼ばれることもあります。
宅地価格は地域によって大きく異なります。
例えば都市の中心部では土地の価格が非常に高くなる一方、人口が少ない地域では比較的安くなる傾向があります。
この違いは単純に「人気があるかどうか」だけではなく、その土地を欲しい人の数(需要)と、売りに出される土地の量(供給)によって決まっています。
例えば、上の画像のように電車やバスの路線が新たに開通することになった街は人々の需要は高まるので、宅地価格が上昇します。
宅地価格の需要曲線

需要曲線とは、「価格と需要量の関係」を表したものです。
一般的に、価格が高くなるほど買いたい人は減り、価格が安くなるほど買いたい人は増えますよね。
そのため需要曲線は右下がりになります。
この仕組みは宅地の場合も同じです。
例えば、土地の価格が非常に高い場合、購入できる人は限られてしまいますが、価格が下がれば多くの人が土地を買い求めるようになります。
また、宅地の需要は次のような要因によって増減します。
- 人口の増加
- 都市への人口集中
- 住宅ローン金利の低下
- 所得の増加
これらの要因があると、土地を購入したい人が増え、需要曲線が右側にシフトします。
宅地価格の供給曲線

供給曲線とは、「価格と供給量の関係」を表したものです。
一般的には、価格が高くなるほど売り手は増えるため、供給曲線は右上がりになります。
しかし宅地の場合、供給には大きな特徴があります。
それは土地の量は簡単には増えないという点です。
例えば
- 都市中心部の土地
- 駅前の土地
などは、いくら価格が上がっても急に土地が増えるわけではありません。
なので、ほかの商品やサービスとは異なり、土地や住宅の場合、価格が上昇したからといって必ずしも供給量が増えるとは限りません。(「価値が上昇した土地を売りに出さずに保有する」など)
このように、宅地市場では供給があまり増えないことが多く、価格が上がりやすい傾向があります。
宅地価格の需要曲線・供給曲線
宅地価格は、需要曲線と供給曲線が交わる点で決まります。

この均衡点が宅地価格になります。
そして、先ほど解説した通り需要曲線・供給曲線は外的要因によって左右に移動します。
例えば
- 住宅を買いたい人が増える
- 都市に人口が集中する
といった場合、土地の需要が増えるので需要曲線が右側へ移動して宅地価格が上昇します。
また、需要曲線が右に移動したときに「宅地価格が大幅に上昇するケース」と「そこまで上昇しないケース」があります。
・価格が大幅に上昇するケース

グラフを見てみると、供給曲線の傾きが急になっていることがわかりますよね。
この場合、需要曲線が右へ移動すると均衡点の位置が大幅に上昇し、宅地価格が大きく上昇します。そして、宅地価格が上昇しているのにもかかわらず、供給がそこまで増えていないこともグラフから読み取れますよね。
これは、宅地価格が上昇することで所有者が宅地を売ることを渋ることを意味しています。
・価格がそこまで上昇しないケース

グラフを見てみると、先ほどとは異なり供給曲線の傾きがなだらかになっていることがわかります。
この場合、需要曲線が右へ移動しても均衡点(宅地価格)がそこまで上昇しません。そして、宅地価格がそこまで上昇していないにもかかわらず、供給量が大きく増えていることがグラフから読み取れますよね。
これは、所有者が少し宅地価格が上昇しただけで売りに出すことを意味しています。
さらに、宅地価格の場合、「宅地価格が上昇することで供給が減少する」というケースも存在します。
このケースについて、以下で解説します。
地価上昇が供給減少につながる⁉︎
少し意外に思えるかもしれませんが、地価が上昇すると供給が減る場合もあります。
例えば土地の価格が上がると、次のような行動が起きることがあります。
- 土地を売らずに保有し続ける
- 将来もっと値上がりすると期待する
このような心理が働くと、市場に出る土地の量が減る可能性があります。
つまり、需要曲線・供給曲線の一般的なルールとは異なり、価格上昇が供給減少につながるという現象が起こることがあります。
宅地価格が上昇することで供給が減少するケースをグラフで確認してみましょう!

このケースの場合、普段は右上がりである供給曲線が右下がりになります。
そして、需要曲線が右へ移動することで価格が大きく上昇しますが、その一方で供給が少なくなっていることがわかります。
このように、宅地の価格が上昇することで供給が減ってしまう現象が発生することがあります。
現在の日本の宅地価格と需要・供給
現在の日本では都市部を中心に宅地価格が上昇しており、特に東京では住宅価格の上昇が社会問題になっています。
その背景にはいくつかの要因があります。
- 都市への人口集中
- 建設コストの上昇
- 投資目的の不動産購入
東京や大阪などの大都市部では外国人による投資目的の不動産購入が行われていることも価格の高騰に影響しています。
また、宅地価格は都市部だけの問題ではありません。
地方都市でも、「半導体の工場誘致」や「スキー場などのリゾート地周辺の土地開発」によって需要が大きくなり、地価が高騰しています。
この地価の高騰は、土地や住宅が購入しにくくなるだけでなく周辺住民の固定資産税にも影響します。
実際にバブル期の日本では地価の高騰に伴って土地を手放さなければならない人が増えてしまったことが社会問題になりました。
さらに、2020年以降は日本の金利が上昇しているので、変動金利でローンを組んでいると返済費用が大きくなってしまうことも問題となっています。
このように、宅地価格と需要曲線・供給曲線の関係を学ぶことで、現在日本が抱える問題が理解しやすくなります。
まとめ
土地や住宅の価格は、経済学でいう需要と供給の関係によって価格が決まります。
人口の増加や都市への集中などによって土地の需要が増えると価格は上昇する一方で、土地の供給は簡単には増えないため、都市部では地価が高くなりやすい傾向があります。
ニュースで報じられる住宅価格の上昇も、こうした需要曲線と供給曲線の関係から理解することができるので、経済学の基本的な考え方を学んでみてはいかがでしょうか!






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