【図解でわかる】労働市場の仕組みとは?需要と供給から見る賃金の決まり方をわかりやすく解説!

【図解でわかる】労働市場の仕組みとは?需要と供給から見る賃金の決まり方をわかりやすく解説! 経済学

日本では少子高齢化が進み、働く人の数、いわゆる労働人口が少しずつ減ってきていますよね。

そのため、人手不足を補うために外国人労働者の受け入れをどうするかが大きな社会問題になっています。

一方で、人材を確保するために大手企業を中心に賃金を引き上げる動きも見られるようになりました。

こうした現象は、実は経済学の「労働市場における需要と供給」で理論的に説明することができます。

経済学では、賃金は「労働市場」における需要と供給のバランスによって決まると考えられています。

企業が「どれだけ人を雇いたいか」という需要と、労働者が「どれだけ働きたいか」という供給が交わることで、賃金の水準が決まるのです。

今回は

  • 労働市場とは何か
  • 労働需要と労働供給
  • 賃金が決まる仕組み

を、需要曲線・供給曲線を使いながら初心者にもわかりやすく解説します。

労働市場とは

労働市場のイメージ画像

労働市場とは、企業と労働者が労働を取引する市場のことを指します。

通常の市場では、「商品」と「お金」が交換されます。例えばスーパーでは、消費者がお金を支払って商品を購入しますよね。

一方で、労働市場では次のような取引が行われます。

  • 労働者 → 労働を提供する
  • 企業 → 賃金を支払う

つまり、労働というサービスが売買されている市場と考えることができます。

この市場では、労働の価格にあたるものが「賃金」です。

企業が支払う賃金と、労働者が働く意欲のバランスによって、労働の量や賃金水準が決まります。

そして、賃金を払う企業と労働を提供する労働者の関係を需要曲線・供給曲線で表すことができます。

労働需要とは(企業側)

労働需要について
  • 労働需要とは
  • 労働需要曲線
  • 労働需要曲線の移動

労働需要とは

労働需要とは、企業がどれだけ労働者を雇いたいかを表すものです。

企業は利益を出すために商品やサービスを生産しますが、そのためには労働者が必要になりますよね。

そのため企業は、必要に応じて労働者を雇います。

ただし、企業が雇う人数は無制限というわけにはいきません。雇う人数や賃金には限りがあるからです。

企業は利益を最大化することを目的としているため、人件費とのバランスを考えながら雇用を決めます。

労働需要曲線

労働需要曲線の解説画像

労働需要曲線は右下がりの形になります。

労働需要曲線が右下がりになる理由
  • 賃金が高いと人件費が増える → 雇用を減らす
  • 賃金が低いと人件費が下がる → 雇用を増やす

例えば、賃金が高い場合、企業は人件費を抑えるために

  • 従業員を減らす
  • 機械化を進める

などの対応を取るので雇用が減ります。

逆に賃金が低い場合、企業にとって労働を雇いやすくなるため雇用が増える傾向があります。

労働需要曲線の移動

労働需要曲線の変動の解説画像

この労働需要曲線は「景気」によって左右に移動します。

例えば、景気が良くなることで労働需要曲線は右へと移動し、賃金が上昇します。

労働供給とは(労働者側)

労働供給について
  • 労働供給とは
  • 労働供給曲線
  • 労働供給曲線の移動

労働供給とは

労働供給とは、労働者がどれだけ働こうとするかを表します。

労働者がどのくらい働くかどうかは、賃金の水準によって大きく影響を受けます。

例えば

  • 賃金が高い仕事
  • 賃金が低い仕事

では、多くの人は賃金が高い仕事を選びたいと考えますよね。

このように、賃金と労働の提供量の関係を表したものが労働供給です。

労働供給曲線

労働供給曲線の解説画像

労働供給曲線は右上がりになります。

労働供給曲線が右上がりになる理由
  • 賃金が高い → 働きたい人が増える
  • 賃金が低い → 働く人が減る

例えば、ある仕事の賃金が上がると

  • 新しく働き始める人
  • 労働時間を増やす人

が増え、労働の供給量が増えます。

一方で、賃金が低い場合、賃金が少なくても働きたいと考える人は少ないため、労働の供給量も減ります。

労働供給曲線の移動

労働供給曲線の変動の解説画像

労働供給曲線は「労働人口の変化」によって左右に移動します。

例えば、少子化で労働人口が少なくなった場合、労働供給曲線は左へ移動します。

これは、企業は賃金を上げてでも労働者を確保しようとするためです。

反対に、海外労働者の受け入れやシニア層の再雇用といった労働人口の増加は、労働供給曲線を右へと移動させます。

これは、労働人口が増えることで企業は賃金を上げることなく労働者を確保できるためです。

労働市場の需要曲線・供給曲線

労働市場の需要曲線・供給曲線の画像

それでは、労働需要曲線と労働供給曲線のグラフを確認してみましょう!

賃金は、労働需要と労働供給のバランスによって決まります。

経済学では、需要曲線と供給曲線が交わる点を均衡点と呼びます。

この均衡点では

  • 企業が雇いたい労働量
  • 労働者が働きたい労働量

が一致します。

このときの賃金を均衡賃金と呼びます。

もし賃金が均衡賃金より高い場合、企業は雇用を減らすため、失業が発生する可能性があります。

逆に賃金が低すぎる場合、働き手が不足して人手不足が起こるので、賃金を上げてでも労働者を確保しようとします。

このように労働市場では、需要と供給のバランスによって賃金が調整されていきます。

また、労働市場の需要曲線・供給曲線の均衡賃金は「景気」「労働人口」によって変動します。

・景気が良くなった場合

景気が良くなった場合の画像

景気が良くなった場合、企業はさらに労働者を求めるので労働需要曲線はへ移動します。

グラフを見てみると、労働需要曲線が右へ移動することで均衡賃金は元の位置よりも高くなり、賃金が上昇することが分かります。

・外国人労働者の受け入れ

労働人口が増えた場合の画像

政府や企業は、労働人口を増やすために外国人労働者を受け入れていますが、労働人口が増えることで労働供給曲線はへと移動します。

グラフを見てみると、労働供給曲線が右へ移動することで均衡賃金は元の位置よりも低くなり、賃金が下落することが分かります。

最低賃金があるとどうなる?

現実の社会では、政府が最低賃金制度を設けています。

最低賃金とは、「企業が労働者に支払わなければならない最低限の賃金」のことを指します。

「最低賃金が1,000円を超えた」といったニュースを見たことがある人も多いのではないでしょうか?

そんな最低賃金ですが、需要曲線・供給曲線ではどのように表されるのか見ていきましょう!

最低賃金<均衡価格の時の解説画像

これは、最低賃金が賃金(均衡価格)よりも低いときのグラフです。

「均衡価格 > 最低賃金」の場合、最低賃金の存在が均衡価格に影響しないので労働市場は変化しません。

例えば、時給1,500円で働いている時に最低賃金が1,200円に決まっても賃金は1,500円から変わりませんよね。

このように、最低賃金よりも賃金が高いと労働市場は変化しません。

それでは、「均衡価格 < 最低賃金」の場合はどのようになるのでしょうか?

最低賃金>均衡価格のときの解説画像

これは、賃金よりも最低賃金が高いときのグラフです。

  • 海外からの労働人口の増加によって供給曲線が左に移動する場合
  • 均衡価格を超える最低賃金が制定された場合

といった場合、「均衡価格 < 最低賃金」という状態になります。

本来であれば「均衡価格=賃金」になるはずでしたが、賃金が価格の下限である最低賃金の制限にかかってしまうので「最低賃金=賃金」になってしまいます。

例えば、時給1,500円で働いている時に最低賃金が2,000円に決まると、賃金が2,000円に引き上げられることになります。

ここで、もう一度グラフを確認してみましょう。

最低賃金のライン上を見てみると、

  • 企業側 → 賃金が高いのであまり雇いたくない
  • 労働者側 → 賃金が高いので働きたい

のように、両者にギャップがあることがわかります。

つまり、労働者は高い賃金のところで働こうとする一方、企業は労働費用が高くなると雇用する人数を減らすので失業者が増えてしまいます。

失業問題について

失業の解説画像

労働市場には「失業」という大きな問題があります。

労働者の賃金が均衡賃金を超えてしまうと企業は労働者を雇う人数を減らすので、失業する人が増えてしまいます。

ただ。ここまで最低賃金と需要曲線・供給曲線の関係を見てきた人の中には、

「失業者が増えるくらいなら均衡価格の賃金まで下げたらいいんじゃない?」

という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?

社会全体でみると、多少賃金が下がっても失業者がいない世の中の方が健全だと感じますよね。

実は、この問題が発生する理由は「労働市場がうまく機能していない」からです。

現実の世界では、賃金が上がることはあっても下がることはほとんどありません。

これは「賃金の下方硬直性の問題」とも呼ばれています。

賃金が下げられない理由は、主に以下の理由が挙げられます。

賃金が下がらない理由
  • 賃金は労働者との契約で決まるので勝手に下げられない
  • 賃金の引き下げは労働組合が反発する
  • 賃金を下げることで優秀な労働者が他社に流れる恐れがある

このように、企業は賃金を下げることができないので、「失業」という問題はなかなか解決することはできません。

労働市場から見る現代の経済

労働市場の仕組みを理解すると、現代社会のさまざまな問題も理解しやすくなります。

例えば

  • 人手不足
  • 海外労働者の受け入れ
  • 少子高齢化
  • 賃上げ

などの問題は、現代社会でも問題になっていますよね。

近年は少子高齢化によって労働供給が減少傾向にあるため、多くの企業で人手不足が問題となっています。

その結果、大手企業は賃金を引き上げて労働者を確保しようとする動きも見られ、初任給の額も以前よりもかなり増えています。

一方で、大手企業と比べて体力が少ない中小企業は、労働者を確保するために賃金の安い海外労働者を受け入れているので、結果として賃金はほとんど上がっていません。

このように、労働市場の視点から経済を考えることで、現代社会の動きがより理解しやすくなります。

まとめ

近年、特に労働市場が大きく変動していますが、これらの変化も需要曲線・供給曲線を使うことで理解がしやすくなります。

労働市場では、

  • 企業の労働需要
  • 労働者の労働供給

のバランスによって賃金が決まり、労働の量も調整されます。

労働市場の仕組みは現代の経済を理解するうえで非常に重要なテーマの一つで、この仕組みを理解することで、賃金の違いや人手不足、最低賃金などの問題も経済学の視点から考えることができるようになります。

労働市場のほかにも消費税や農作物の価格変動にも需要曲線・供給曲線は登場するので、興味がある人はぜひ以下の記事もご覧になってみてください!

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