【統計初心者向け】平均と偏差値の違いとは?平均と偏差値をわかりやすく解説!

【統計初心者向け】平均と偏差値の違いとは?平均と偏差値をわかりやすく解説! 統計

皆さんは試験やテストの結果が返ってきたとき、まずどこに目を向けますか?

「自分の点数」が気になるのはもちろんですが、それと同じくらい「平均点」や「偏差値」を意識する方も多いのではないでしょうか。特に大学受験では、点数そのものよりも偏差値が合格の目安として重視されるため、数値の上下に一喜一憂してしまうことも少なくありません。

しかし、「平均」と「偏差値」がそれぞれ何を意味しており、具体的に何が違うのかを改めて聞かれると、「よくわからない…」と感じる人も多いのではないでしょうか?

今回は、「平均」と「偏差値」、この2つの違いをわかりやすく解説します。

「平均」で何がわかる?

「平均とは何か?」の画像

まず、基本中の基本である「平均」について考えてみましょう。

平均とは、全員の数値を合計し、人数で割った値のことです。

例を使って確認していきましょう。

ここで、あるクラスの10人(Aさん〜Jさん)がとあるテストを受けたとします。

このクラスのテスト結果を計算すると、平均点は「60点」でAさんの得点は65点でした。

「平均を解説する例」の画像

ここで、65点を取ったAさんの立ち位置に注目してみましょう。

ケース①:50点〜70点に収まっているグループ

みんなの点数が比較的近い、標準的なテストの場合です。

名前ABCDEFGHIJ
点数65566568565759586056

このときの平均が60点で、Aさんは65点でした。

このとき、Aさんは「平均よりは高いけれど周りも同じような点数で、自分の65点はどれくらい良い方なのだろう?」と、自分の実力の価値がいまいち掴めません。

ケース②:0点〜100点まで点数差が激しいグループ

次に、点数が大きくバラついている場合を見てみましょう。

名前ABCDEFGHIJ
点数659510090858010153020

このグループも平均は60点になります。

しかし、この点数表をよく見てみると、Aさんの65点は平均点を超えているのにもかかわらず、下から数えたほうが早いという結果になっています。

今回のようにバラツキが大きい中で極端に低い点数の人がいると、平均点をぐっと引き下げてしまいます。

平均の限界:自分の点数の「価値」がわからない

「平均の限界(自分の点数の価値がわからない)」の画像

このように、平均はグループ全体の「真ん中」を教えてくれますが、「他の人と比べてどれくらい差があるのか」はわかりません。

同じ65点でも、ケース①なら「まずまずの結果」ですが、ケース②なら「平均を超えていても安心できない結果」になります。

平均点という物差しだけでは、自分の点数が持つ本当の価値を見誤ってしまう可能性があります。

偏差値は「集団の中での自分の位置」を示す

「偏差値とは何か?」の画像

先ほどの解説のように、平均だけでは自分の立ち位置が分かりませんでしたよね。

この問題を解決してくれるのが「偏差値」です。

偏差値は、以下の公式によって導き出されます。

「偏差値の公式」の画像

この公式には、統計学的に重要な3つの要素が組み込まれています。

  1. 平均点との差(偏差): 自分が平均からどれくらい離れているか。
  2. 標準偏差: データの「バラツキ」具合を表す。
  3. 10倍して50を足す: 計算結果を「50を真ん中とした、わかりやすい数値」に調整するための仕上げです。

それでは、平均の解説で登場した10人のデータを使って、実際に偏差値の計算を見ていきましょう。

「標準偏差」でバラツキを数値化する

「標準偏差」とは、簡単に言うと「みんなの点数が平均からどれくらい離れているか」の平均値のようなものです。この数値が大きいほど「点数がバラバラ」であることを意味します。

先ほどの2つのケースは、

  • Aさんの点数・・・65点
  • 平均点・・・60点

でしたね。

このとき、標準偏差を計算すると以下のようになります。

・ケース①の場合(50点〜70点): 標準偏差は 約4.2 (みんなが平均60点の近くにまとまっている状態)

・ケース②の場合(0点〜100点): 標準偏差は 約36 (点数が上下に激しく散らばっている状態)

このように、ケース②の方は数値で見てもかなりバラツキがあることがわかります。

それでは、この標準偏差を用いて、実際に偏差値を計算してみましょう。

実際に「偏差値」を計算してみよう

公式に当てはめて、Aさんの65点がそれぞれのケースでどう評価されるか計算してみましょう。

【ケース①の場合】

「ケース①の時の偏差値を計算」の解説画像

平均60点、標準偏差4.2のグループで、Aさんが65点を取ったとき:

偏差値=(65−60)/4.2×10+50=61.9

このように、ケース①のときの偏差値は約62になります。

周りのバラツキが小さいため「平均より5点高い」という事実にしっかりとした価値がつき、「平均より抜き出た存在」であることが数値に現れています。

【ケース②の場合】

「ケース②の時の偏差値の計算」の解説画像

平均60点、標準偏差36のグループで、Aさんが65点を取ったとき:

偏差値=(65−60)​/36×10+50=51.3…

このように、ケース②のときの偏差値は約51になります。

分母となる標準偏差(バラツキ)が非常に大きいため、平均点から5点程度の差は「よくある誤差」の範囲内だと判断されてしまいます。

その結果、平均を超えているのに偏差値は「ほぼ真ん中(約51)」という高くない評価になってしまいます。

標準偏差が大きくなると分母が大きくなることからも偏差値が低めになることがわかりますね。

「偏差値」は集団の中での自分の位置がわかる

ここまでケース①とケース②の偏差値を計算しましたが、同じ「平均との差(+5点)」であっても、標準偏差(バラツキ)が違うとその点数の価値が変わってしまうことがわかりました。

  • 平均: グループ全体の「中心」を表す
  • 標準偏差: グループが「どれくらいバラバラか」を表す
  • 偏差値: 「平均」と「標準偏差」の両方を組み合わせて、正しい物差しで測り直す

平均点を5点超えていて安心していたAさんも、ケース②のようなバラツキが大きい集団の中では、実は「ごく平凡な位置」に埋もれていたことがわかります。

このように、「偏差値」を用いることでその集団の中での自分の位置を把握することができます。

偏差値の注意点

ここまで、偏差値がいかに便利な「物差し」であるかを解説してきました。

しかし、この物差しを扱う際に、絶対に忘れてはならない前提条件があります。

それは、「どのグループ(母集団)の中で計算された偏差値か」ということです。

実は、偏差値は「比べる相手」が変われば、その数字の意味もガラリと変わってしまいます。

「レベルの高い集団」と「幅広い集団」の違い

「偏差値は集団によってそれぞれ存在する」の解説画像

例えば、次の2つの試験で、それぞれ「偏差値60」を取ったAさんとBさんについて見ていきましょう。

  • 試験A(勉強が得意な人ばかりが受ける模試): 勉強が得意な人ばかりが集まる、非常にレベルの高い母集団。
  • 試験B(全国の学生が幅広く受ける一斉テスト): 得意な人も苦手な人も入り混じった、平均的な母集団。

この場合、同じ「偏差値60」という数字であっても、その価値は全く異なります。

試験Aの偏差値60は、「勉強が得意な人たちが集まるハイレベルな集団の中で、さらに上位にいる」ことを意味します。

一方で、試験Bの偏差値60は「一般的な集団の中で上位にいる」ということを意味します。

つまり、同じ偏差値60ですが、おそらく試験Aで偏差値60を取った人の方が学力が高いといえます。

このように、偏差値はあくまで「その集団内での相対的な位置」を示す数字に過ぎません。

偏差値は「母集団の性質」によっても変わる

「偏差値は母集団の性質によっても変わる」の解説画像

また、偏差値には「バラツキ」の他に「母集団の性質」も関係しています。

例えば、大学受験の目安に使われる模試では

「難しい試験は偏差値が出にくい」
「幅広いレベルの受験者層が受ける模試は偏差値が出やすい」

感じる人も多いのではないでしょうか。

実際に、難しい試験を出す予備校の大学偏差値の目安は他の予備校よりも低めに出ていますよね。

ただ、ここで疑問になるのが、

「難しい試験ほど受験者の点数が近くなって標準偏差が小さくなるなら、高い偏差値は出やすいのでは?」

という点です。

確かに、これまでの解説の通り、標準偏差が小さいと少しの点差でも偏差値は大きく変化します。

しかし、難関模試では受験者全体のレベルが高く、実力差や点数差そのものも小さくなりやすいという特徴があります。

つまり、

  • 標準偏差も小さい
  • しかし平均との差も作りにくい

という状態になるため、結果として高い偏差値を取ることが難しく感じられます。

一方で、幅広い受験者層が集まる模試では点数のばらつきが大きくなりやすく、高得点者は平均との差を大きく作りやすくなります。

このように、偏差値は単純な点数だけではなく、

  • バラツキ(標準偏差)
  • 受験者層の特徴

の両方によって決まります。

統計データを見るときは、数字そのものだけでなく「その数字はどのような集団から得られた数値なのか」という背景にまで目を向けることが大事である理由がわかりますよね。

「偏差値」の目安について

偏差値の数字が何%くらいの立ち位置を示すのか、大まかな目安を知っておくと便利です。

今回は標準正規分布をもとに偏差値の数値の目安を作成したので、ぜひ確認してみてください。

  • 偏差値70: 上位から約2.3%
  • 偏差値60: 上位から約15.9%
  • 偏差値50: ちょうど真ん中(平均的)
  • 偏差値40: 下位から約15.9%
  • 偏差値30: 下位から約2.3%

このように、偏差値を知ることは「自分を客観的に見つめる」ことに繋がります。

平均と偏差値の使い分け一覧

今回の「平均」と「偏差値」の関係を整理しましょう。

統計学の初心者の方がまず押さえておくべき違いは、以下の表の通りです。

項目平均偏差値(標準偏差を活用)
視点グループ全体の「中心」を見る個人の「相対的な位置」を見る
わかること全体のレベル、難易度の目安集団の中での凄さ、立ち位置
考慮する要素合計値と人数平均との差 + 
データのバラツキ
欠点バラツキ(極端な値)に弱い集団の質が変わると
比較できない

まとめ

「平均と偏差値の違い」を理解することは、統計学だけでなく日常生活にも大きく役に立ちます。

私たちは日常の中で、つい「平均」という言葉に惑わされがちです。

例えば「平均年収」という言葉を聞いたとき、私たちは無意識に「世の中の多くの人がそのくらいの年収なのだろう」と考えがちです。

しかし、今回学んだように、平均という数字には「バラツキ(標準偏差)」が大きく関わっています。年収が0円の人もいれば、1億円を超える人もいるといった極端な差がある場合、平均値は一部の高所得者に引き上げられ、必ずしも「大多数の人の実感」を反映しているわけではありません。(データの中心的な実態をより正確に知りたいときは、平均値ではなく『中央値』という指標を使います。)

統計学は、単なる計算の技術ではなく、日常の中に溢れるたくさんの情報の中から、真実を正しく見抜くための能力を身につける学問です。

「平均」と「偏差値」の違いを正しく理解して、日常生活に役立ててみましょう!

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