近年、「インフレ」や「物価上昇」という言葉をニュースでよく耳にしますよね。
しかし、「結局、インフレーションになるとどうなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、インフレーション(inflation)とは何か、そしてその仕組みや原因を、初心者でもわかるように解説します。
インフレは家計やお金の価値など、私たちの生活に大きく関わる重要なテーマなので、ぜひ最後まで読んで理解を深めましょう!
インフレーションとは?

インフレーションとは、モノやサービスの値段(=物価)が全体的に上がることを指します。
「お菓子屋さんで去年はドーナツ1個100円で売っていたけれど、今年はドーナツ1個が150円に値段が上がってた」のようにモノの値段が上がることがありますが、これがまさに「インフレ」です。
インフレでは「お菓子の価値が上がった」のように物価上昇のイメージがあるかもしれませんが、言い換えると「お金の価値が下がった」ということにもなります。
インフレの仕組みを理解するには、経済の基本である「お金の量とモノの量のバランス」を押さえることが大切です。
以下でインフレについて詳しく解説していきます!
インフレはなぜ起こる?
インフレが起こる原因には、大きく分けて4つのタイプがあります。
- ディマンドプル・インフレ
- コストプッシュ・インフレ
- ビルトイン・インフレ
- マネタリーサプライ(通貨供給量)の増加
それでは、この4つについて詳しく説明していきます。
① 需要が増えることで起きる「ディマンドプル・インフレ」
ディマンドプル・インフレは「需要が供給を大きく上回った時(需要>供給)」に起こるインフレです。

画像のように、お店にドーナツが3個売っているのに対して、ドーナツが欲しい人が6人いる場合、ドーナツを「買える人」と「買えない人」が出てきます。
この場合、ドーナツがどうしても欲しい人は値段が上がってでも買いたいと考えますよね。
お店側は値段を上げてもドーナツが売れることが分かったので、その結果ドーナツの値段は上がっていきます。
また、この他にも景気の向上や所得の増加が起こるとモノやサービスの需要が高まるので、企業は値上げをしても商品が売れるようになります。
- 給料が上がる
- 消費意欲が高まる
- 政府の景気刺激策(減税・補助金など)
需要曲線・供給曲線のグラフを使ってディマンドプル・インフレを確認しましょう。

需要が増加すると、需要曲線は右上の方向に移動します。
グラフのように、供給曲線に変動がない場合に需要曲線が右上に移動すると、需要曲線と供給曲線が交わる均衡点がもとの位置より高くなって物価が上昇することがわかりますよね。
このディマンドプル・インフレは「経済が元気になっている」サインでもありますが、需要が過剰になりすぎるとバブル(過熱)につながるリスクもあります。
② コストが上がることで起きる「コストプッシュ・インフレ」
こちらは、商品を作るコストが上昇して値上がりするタイプです。

お菓子を製造するための原材料の価格や電気やガスなどのエネルギー料金が増加すると、もともと設定していた価格では利益が出なくなってしまいます。
- 原材料の高騰(例:原油、穀物、金属など)
- 人件費の上昇(例:人手不足による賃上げ)
- 円安などによる輸入コストの増加
コストプッシュ・インフレについてのグラフも確認してみましょう。

賃金の増加や材料価格の高騰などの生産コストの上昇は、供給曲線を左上の方向へと移動させます。
その結果、均衡点はもとの位置よりも高くなり、物価が上昇することがわかります。
このように、生産コストが上がると、その分を価格に転嫁せざるを得ません。
また、デマンドプル・インフレとは異なり需要の増加や賃金の上昇は起こりにくく、企業にも消費者にも負担が大きいので経済が活性化しません。
③ ビルトイン・インフレ
ビルトイン・インフレは過去の物価高などから将来の物価上昇を予想し、労働者が賃上げを求めることで発生するインフレです。
食料や生活品の物価が上がってしまうと生活が苦しくなってしまうので、労働者は物価の上昇を予測して賃上げを要求します。
その結果、労働者の給料が上がった分、製品の価格に上乗せされ物価が上昇します。
④ マネーサプライ(通貨供給量)の増加
マネーサプライ(通貨供給量)が増加した場合、インフレが発生する可能性があります。

マネーサプライとは「国や金融機関以外で供給している通貨の量のこと」を指し、マネーサプライが増加すると私たちが手にする通貨の量が増えます。
つまり、マネーサプライが増加することで私たちが自由に使えるお金が増え、その結果お金を使う人が多くなり、経済が活性化して景気が良くなります。
このように、マネーサプライが増えることは私たちの生活にプラスに感じるかもしれませんが、実はこれにもインフレのリスクが含まれています。
画像のように、マネーサプライが増加することでモノやサービスの需要は高まりますが、供給量に変化は無いので「需要 > 供給」になってしまいますよね。また、通貨が増えることでお金の価値が下がってしまいます。
結果、マネーサプライの増加に合わせて物価が上昇しインフレが発生してしまいます。
実際に1970年代のインフレはマネーサプライの増加が原因だと言われており、ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンは「貨幣供給量はインフレーションに強く影響を与える」と提唱しています。
インフレが起こるとどうなる?
ここまではインフレの種類を紹介しましたが、実際にインフレが起こるとどのような影響があるのでしょうか?
- 企業の利益が増え、賃金が上がりやすくなる
- 支出が増え、経済が活性化する
- 物価が上昇する
適度のインフレ(インフレ率が2%前後)は、物価の上昇や企業の業績の向上、給料のUPなど、経済が活性化して私たちの生活が豊かになり、景気が良くなります。

このように、適度なインフレが続くことで経済は発展し続けるので、中央銀行はインフレ率が2%になるように金利政策を行います。
一方で、インフレが続くと通貨の価値が下がり続けてしまうので、貯金をしている人の資産が減ってしまいます。特に、年金受給者や老後の貯金で生活する人に対してインフレは重くのしかかってしまいます。
実際に1970年代の日本ではインフレ率が20%を超えることがありましたが、これは単なる物価の上昇だけでなく、現金で保有している資産が1/5ほど減少することを意味します。
また、物価上昇に対して給料が追いつかなくなると、インフレにもかかわらず景気が悪くなってしまう「スタグフレーション」という状況が発生してしまいます。
このスタグフレーションは、生産コストが上昇して物価が上がるコストプッシュ・インフレの時によく見られ、
「生産コストの上昇→コストの上昇の一部を企業が負担→企業の収益が減少→業績の悪化」
のように、多くの企業の業績が悪化してしまい不況に陥ります。
適度なインフレは経済にとって良い影響を与え景気が良くなりますが、その反面少しでもバランスが崩れてしまうと一気に不景気へと突入する可能性があるので注意が必要です。
ハイペースでインフレが続く「ハイパーインフレーション」とは?
ここでは、先ほどの適度なインフレではなく、過度なインフレについて解説していきます。
「インフレというワードを聞くとジンバブエドルを思い浮かべる」
このように、ジンバブエは2000年に入って過度なインフレが起こり社会問題になった比較的新しい事例なので、過度なインフレの象徴としてジンバブエを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
2000年代のジンバブエドルのように、通貨の信用を失い過度に物価が上昇してしまう現象を「ハイパーインフレーション」と呼びます。
このハイパーインフレとは、前月比50%以上物価が上昇することと定義されており、以下のように急激に物価が上昇します。

実際にジンバブエでは年間の物価上昇率が220万%を記録するなど、ハイパーインフレが起きてしまうと経済が一気に崩壊してしまいます。
また、ハイパーインフレに陥ってしまうと自国だけで抜け出すのが非常に困難で、他の国の力を借りる必要があります。
ジンバブエの場合、通貨としての信用を失ってしまったジンバブエドルの代わりにアメリカドルなど他国の通貨を利用することを決め(複数通貨制の導入)、ジンバブエドルの流通を停止し、数年後にはジンバブエドルの廃止を決定しました。
歴史を遡ってみると、ハイパーインフレに陥った国はジンバブエの他にベネズエラやアルゼンチン、第一次世界大戦後のドイツなど多数存在します。
特に、第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレは凄まじく、10個入りの卵3.9マルクだったのが2〜3年後に3兆マルクになるなど、物価が約1兆倍上がるという天文学的な数値となりました。
インフレへの対策とは?
適度なインフレを目標に、中央銀行や政府は日々対策をしています。
ここでは、インフレに対する中央銀行や政府の役割を解説していきます。
中央銀行の役割
インフレが進みすぎると生活が苦しくなり、経済のバランスが崩れてしまいます。
そのコントロールを担うのが、中央銀行です。
中央銀行は金利を変動することで経済の安定を図ります。
- 金利を上げて借り入れコストを高くし、お金を借りにくくする
- お金の流通を減らし、需要を冷ます
インフレを抑えたい場合、中央銀行は金利を上げて借り入れコストを高くすることで、企業や個人がお金を借りにくくさせます。また、市場の通貨量を減らすことで、自由に使える通貨が少なくなるので消費が落ち込みます。

この結果、消費者の購買意欲が下がり、需要が下がります。
- 金利を下げて、借入や設備投資を促す
- お金の流通を増やし、需要を高める
先ほどとは反対に景気を刺激したい場合、中央銀行は金利を下げて借入や設備投資を促します。また、市場の通貨量を増やすことで消費者の購買力が上がり、経済が活性化します。
政府の役割
インフレ時における政府の役割は、増税や政府支出の削減をすることで需要や通貨の流出を減らすことです。
中央銀行は金利を上げることで消費を抑制しますが、政府は税金を引き上げることで消費の抑制を図ります。
また、公共事業などの政府支出を削減することで市場に出回るお金を減らし、需要が下がります。
この他にも、インフレによる物価高に苦しむ低所得者への支援も政府の財政政策に含まれます。
インフレ時に投資することで資産を守れる
先ほども述べましたが、1970年代に日本では石油ショックの影響を受けてインフレ率が20%が超えるほどのインフレが起きてしまいました。
年間のインフレ率が20%というのは、1年間で現金資産が1/5も減ってしまうことを意味します。
例えば、5,000万円貯めて現金で保有していた場合、たったの1年で1,000万円失ってしまうことになります。
また、理想的なインフレ率(2%)の時に100万円を持っている場合でも、5年で約1/10減ってしまいます。
このように、インフレは「物価の上昇=通貨の価値の減少」なので、資産を現金のみで保有しているとインフレが続く限り資産価値が下がり続けてしまいます。
インフレが起きると現金の価値が下がることはわかりましたが、どのようにして資産を守っていけばよいのでしょうか。
インフレ時に資産を守るための手段は“投資”です。
株や金などの資産はインフレによる物価上昇にあわせて価格が上昇するので、現金のように資産価値が減少しません。
実際の2020年〜2025年の日本を使って確認してみましょう!

画像のように、2020年〜2025年の日本はインフレ率が約3.3%とインフレ傾向で、この期間に日経平均株価は約2倍増えており、史上初の50,000円台を記録しました。
また、世界的なインフレや社会情勢の影響もあり、金の価格も約3倍増加しています。
この2020年〜2025年の期間に現金で資産を持っていた場合3%近く資産が減少してしまうことになりますが、株や金に投資していた場合、インフレから資産を守るどころか資産を2〜3倍増やすことができます。
このように、インフレ時に投資をすることで資産を守ることはもちろん、資産を増やすことができる可能性があります。
投資について「マイナスなイメージ」を持っている方も多いかもしれませんが、インフレ時に現金のまま保有していると資産が減ってしまうので、むしろ金や株などに投資した方が安全です。
「株への投資が怖い方」や「株の仕組みがよくわからないという方」は、ぜひ以下の解説記事を読んでみてください!
インフレの反対「デフレーション」との比較
インフレの反対として「デフレーション」があります。
ここでは両者の違いをまとめているのでぜひ確認してみてください。
| 比較項目 | インフレーション | デフレーション |
| 物価 | 上がる | 下がる |
| お金の価値 | 下がる | 上がる |
| 景気 | 活発化(過熱すると危険) | 停滞・縮小 |
| 給料 | 上がりやすい(初期) | 下がりやすい |
| 家計への影響 | 生活費上昇・貯金目減り | 物価安いが給料減少 |
まとめ:インフレは「お金の価値の変化」
適度なインフレは経済が活性化し景気が良くなるので私たちの生活を豊かにしてくれますが、インフレが進んでしまうと物価の急上昇や現金資産の減少などマイナスな影響が大きくなります。
特に日本では現金預金が一般的なので、インフレが起きてしまうと多くの人が資産を減らすことになってしまいます。
インフレ時に資産を守る手段は投資です。
特に新NISAを活用することで投資からの利益に税金がかからなくなり、より効率よく資産を運用することができます。
さらに株を長期保有することで配当金や株主優待券を貰うことができるので、預金するよりもお得感があります。
皆さんもぜひ、ニュースや新聞を確認してインフレ傾向かどうかをチェックして、資産を守っていきましょう!








コメント