【図解でわかる】オプション取引の仕組みとは?簿記・会計の視点でわかりやすく解説!

【図解でわかる】オプション取引の仕組みとは?簿記・会計の視点でわかりやすく解説! 会計

投資を勉強していると“オプション取引”という用語がたびたび登場しますよね。

オプション取引は一般的な取引と大きく異なる取引なので、

「オプション取引がよくわからない」
「上級者向けだから手が出せない」

といった悩みを持つ人も多いのではないでしょうか?

オプション取引は専門的な印象がありますが基本の考え方は意外とシンプルで、オプション取引を使いこなすことで少額の資金で大きな利益を得ることができます。

今回は、オプション取引の内容やメリット・デメリットを簿記・会計の視点を含めてわかりやすく解説します。

オプション取引とは?

オプション取引とは、「一定の期日までに一定の価格で売買する権利」を売買する取引のことを指します。

オプション取引のイメージ画像

つまり、“モノを売買する権利”を売買することになります。

オプション取引の特徴は以下のようになっています。

オプション取引の特徴
  • 売買対象は「商品」ではなく権利
  • 権利なので「使っても使わなくてもよい」
  • 権利の価格=プレミアム(オプション料)

ただ、いきなり「オプション取引は売買する権利の売買で使っても使わなくてもいい」といわれてもよくわかりませんよね。

オプションを理解するためには簿記・会計学を先に学習すると取引の流れが可視化され、一気にわかるようになります。

なので、まずは簿記・会計でのオプション取引を見ていきましょう。

会計学から見るオプション取引

オプションは投資だけでなく、簿記・会計学の「デリバティブ取引」で出てくる重要な論点です。

オプション取引は簿記の中でも苦手意識を持っている人が多い論点ですが、一度しっかり理解すると簿記の得点源や投資の判断基準になります。

それでは確認していきましょう!

先物取引

オプション取引の前に、まずは「先物取引」について確認します。

先物取引は「将来の一定の期日に一定の価格で売買することを約束した取引」のことです。実際にモノを受渡する前に取引価格を決めるので、たとえ一定の期日までにモノの価格が変動しても約束した価格で取引が行われます。

簿記・会計の先物取引は「値下がり or 値上がり」を予想して取引を行います。

・売建

売建のイメージ画像

将来値下がりを予想する場合、「将来の一定の期日に値段が下がると予想したモノを、今のうちに先物価格で契約して売る」ことになりますが、これを売建と呼びます。

売建の場合、予想通り価格が下がったら利益になり、予想と反して価格が上がったら損失になります。

例を使って確認しましょう。

カブ君は現在1個1,000円のトマトが3ヶ月後には500円に下落すると予想しています。なので、今のうちに「3ヶ月後にトマトを1,000円で売ります!」という契約を結びます。

売建で価格が下がった場合

カブ君の予想通りトマトが500円に下落すると、カブ君は市場から500円でトマトを買って取引相手に1,000円で売ることができるので500円利益を得ることができます。

売建で価格が上がった場合

反対に、トマトが1,500円まで高騰すると、カブ君は市場から1,500円でトマトを買って相手に1,000円で売らなければならないため500円の損失になります。

・買建

買建のイメージ画像

反対に将来値上がりを予想する場合、「将来の一定の期日に値段が上がると予想したモノを、今のうちに先物価格で契約して買う」ことになりますが、これを買建と呼びます。

買建の場合、予想通り価格が上がったら利益になり、予想と反して価格が下がったら損失になります。

例を使って確認しましょう。

カブ君は現在1個1,000円のトマトが3ヶ月後に1,500円に値上がりすると予想しています。そのため、「3ヶ月後にトマトを1,000円で買います!」という契約を結びます。

買建で価格が上がった場合

カブ君の予想通りトマトが1,500円になると、カブ君は相手からトマトを1,000円で買って市場で1,500円で売ることで500円の利益を手にすることができます。

買建で価格が下がった場合

反対にトマトが500円に値下がりすると、カブ君は市場価格が500円のトマトを1,000円で買うことになるので500円の損失になります。

また、先物取引に参加するためには証券会社に担保として現金を差し入れる必要がありますが、これを委託証拠金(勘定科目は先物取引差入証拠金)と呼ばれます。

委託証拠金のイメージ画像

この委託証拠金は、先物取引の決算が行われた後に返還されます。

オプション取引

オプション取引は、一定の期日までに一定の価格で「売買する権利」を売買する取引のことを指します。

オプション取引のイメージ画像

オプション購入する際は買い手からオプションを購入し、代金としてオプション料を支払います。先物取引の際は担保として証券会社に委託証拠金の支払い・返還がありましたが、オプション料はオプションを購入する代金なので返還されません。

オプション取引の特徴は「オプションを行使する or 放棄する」を選択できる点です。

先物取引では有利・不利に関係なく決済が必要ですが、オプション取引は不利になった際にオプションを行使せずに放棄することが可能です。(オプション料のみが損失になります。)

それではオプション取引の流れを見ていきましょう。

カブ君はトマト株式会社のトマト(取引価格:1,000円)を購入する権利を100円で購入しました。

・価格が上昇した場合

オプション取引(買い)で価格が上がった場合

取引時にトマトの価格が1,500円に上昇した場合、カブ君はオプションを行使して400円(1,500円(取引時の時価)ー1,000円(取引価格)ー100円)の利益が出ます。

オプション取引で購入する権利を購入した際は、「オプション行使→1,000円で購入→1,500円(時価)で売却」のような流れで利益を得ます。

・価格が下落した場合

オプション取引(買い)で価格が下がった場合①

取引時にトマトの価格が500円に下落した場合、先物取引の流れをみると600円の損失になってしまうと感じますよね。(500円(取引時の時価)ー1,000円(取引価格)ー100円(オプション行使))

オプション取引(買い)で価格が下がった場合②

しかし、このように損失が出そうな場合は「オプションを行使しない」という選択をとることでオプション料の100円のみの損失に抑えることができます。

このように、オプション取引は損失を最小限に抑えながら大きな利益を狙える取引であることがわかります。

また、金利スワップやヘッジ会計については以下の記事で解説しているのでぜひご覧ください!

コールオプションとプットオプション

オプションには大きく2種類あります。

コールオプション(買う権利)

コールオプションとは、「将来、あらかじめ決めた価格で買うことができる権利」のことです。

先ほどの解説のように、一定期間後にモノを買う権利を購入して利益が出そうな時はオプションを行使し、損失が出そうな場合は権利を使わずに放棄すれば良いので、損失は最初に支払ったオプション料(プレミアム)に限定されます。

つまり、コールオプションは「値上がり益を狙いつつ、損失は限定できる」という特徴を持つ金融商品です。

少ない資金で価格上昇のチャンスを狙える点が魅力ですが、期限までに上昇しなければ価値がなくなる点には注意が必要です。

プットオプション(売る権利)

プットオプションとは、「将来、あらかじめ決めた価格で売ることができる権利」です。

これは主に、価格の下落を見込む場合や、保有資産の値下がりに備える目的で使われます。

例えば、将来価格が値下がりすると予想した商品を現在の価格で売ることを約束したとします。

将来のある特定の日にトマトを1,000円で売る権利を100円で購入したとします。

もしトマトが500円に下落した場合、市場価格が500円のトマトを1,000円で売ることができるのでオプションを行使して400円の利益が出ます。

反対にトマトが1,500円に上昇した場合は、オプションを行使して1,000円で売却すると損になってしまうので権利を使わず放棄します。この場合の損失もプレミアムに限られます。

このように、プットオプションは値下がり局面で利益を狙えるだけでなく、株を保有している人が「保険」として活用できるのが大きな特徴です。

相場の下落リスクに備える手段として、多くの投資家や企業が利用しています。

オプション取引のメリット

① 損失限定が可能(買い手)

オプション取引の最大のメリットは「損失」を最小限に抑えることができる点です。

一般の取引であれば予想が外れると大きな損失になってしまいますが、オプション取引はオプションを放棄することでオプション価格のみの損失に抑えることができます。

つまり、オプションを購入した時点でオプション価格以上の損失にはならないので、安心して取引を行うことができます。

② 少額で戦略が組める

株式や債券、通貨を取引する際、実際にそれらを購入する必要があるので初期投資の額が大きくなってしまいます。

一方で、オプション取引はオプションを購入するだけで取引に参加することができるので、他の投資よりも少額から始めることができます。

③ 相場の方向性に応じた活用

一般的に株を投資する場合、「株価が上昇する」ことで利益が発生し「株価が下落する」ことで損益が発生するので、株価が上がりそうな株でしか利益を得ることができません。

一方で、オプション取引の場合、コールオプションとプットオプションの2種類あるので「価格の上昇」「価格の下落」のどちらの予想でも利益を得ることができます。

④ ヘッジ手段として有効

株の運用は「株価が上がりそうな株」をいくつか選んで運用しますが、株価が下落してしまうと一気に大きな損失になってしまいますよね。

そんな時、オプション取引で「価格が下がる」ことを予想をしたオプションを購入しておくことで、万が一株価が下がって一般取引で損失が出てもオプション取引で利益が出るので損失を最小限に抑えることができます。

また、そのまま株価が上昇した場合はオプションを放棄するだけで損失が最小限になるので、リスクを分散させるヘッジ手段としてオプション取引は有効になります。

注意すべきポイント

ここではオプション取引における注意すべき点(オプション取引のデメリット)について解説します。また、解説する際に以下の前提をもとに例として数値を扱います。

前提条件
  • トマト1個の基準価格:1,000円
  • オプション価格(プレミアム):100円
  • 一定期日後の価格
  • ① 1,500円に上昇
  • ② 500円に下落

※売る側=最初に100円を受け取る立場です。

オプション取引で注意すべきポイント
  • 価格変動の要因が多い
  • 売る場合は損失が大きくなる可能性がある
  • レバレッジに注意

価格変動の要因が多い

もし普通の市場でトマトを買った場合、

  • 1,000円から1,100円へ上昇した場合:+100円
  • 1,000円から900円へ下落した場合:−100円

のように利益や損失が非常に単純ですが、オプションの場合「さまざまな要素」が混ざって損益が決まるので、たとえトマトが1,000円のままでもオプション価格は動きます。

① 原資産価格の変動

トマト自体の価格変動もオプション価格に影響を与えます。

トマトが1,000円 → 1,200円に上がればコールは値上がりしやすく、

1,000円 → 800円に下がればプットは値上がりしやすいですよね。

このように、オプションの元の価格変動がオプション価格へ影響を与えます。

② 時間の経過

オプションは「期限付き」なので、満期まで30日あるときと残り1日しかないときでは価値が違います。

残り時間が少なくなるほど、

大きく動く可能性が減る → オプション価値は下がる

ので、トマトが1,000円のままでもオプション価格100円が80円、60円と下がることがあります。

③ ボラティリティ(価格変動の激しさ)

例えばニュースで

「猛暑でトマトが不作になるかもしれない」
「トマトに輸入規制が入る可能性がある」

などが出ると、将来トマトの価格が1,500円や500円になる可能性が高まります。

すると、現在はトマトが1,000円のままでも「今後大きく動くかもしれない」という期待や恐れから、オプション価格が変動する可能性があります。

これをボラティリティと呼びます。

④ 需要と供給

オプションも市場での取引なので、

・みんながコールを欲しがる → 価格が上昇
・プットを欲しがる人が少ない → 価格が下落

このようにトマト価格が変わらなくてもオプション価格は変動します。

⑤ 金利などの影響(理論上)

実際の金融市場では、

  • 金利
  • 配当

なども影響します。

トマトの例では省略していますが、現実の株式オプションではこれも変動要因になります。

売る場合は損失が大きくなる可能性がある

ここまではオプションを購入する側で解説しましたが、オプションは購入だけでなく売ることができます。

オプションの購入の場合、

  • 利益が出る場合オプションを行使
  • 大きな損失になりそうな場合はオプションを放棄

のように、リスクは限定的でしたよね。

一方、オプションを売る場合は話が変わります。

① コールを売却する場合(1,000円で買わせる義務)

コールを売却する場合のイメージ画像

コールを売るとは、

「相手に1,000円でトマトを買う権利を与える = 相手が望めば1,000円で売らなければならない」

ということを意味します。

・期日後に1,500円へ上昇した場合

市場価格が1,500円に上がった場合、買い手は1,500円のトマトを1,000円で手に入れることができるのでオプションを行使します。

つまり、売り手は1,500円もの価値があるトマトを1,000円で売らなければなりません。

もし市場でトマトを1,500円で仕入れて渡すなら、

「1,500円 − 1,000円 = 500円の損失」

になってしまいます。

ただし、売手は最初に100円のプレミアムを受け取っているので、最終損益は

「500円 − 100円 = 400円の損失」

になります。

このように、価格が大きく上がるほど損失が拡大し、理論上、価格の上昇に上限がないなら、損失も拡大し続けます。

・期日後に500円へ下落した場合

市場価格は500円に下落した場合、買い手は1,000円で買うと損をするのでオプションを放棄し、売り手はトマトを売らずに済みます。

結果、受け取ったオプション料の100円がそのまま利益になります。

② プットを売却する場合(1,000円で買う義務)

プットを売るとは、

「相手に1,000円で売る権利を与える = 相手が望めば1,000円で買わなければならない」

ということを意味します。

・期日後に1,500円へ上昇した場合

市場価格が1,500円に上昇した場合、買い手はわざわざ1,000円で売る必要はなくオプションを放棄するので、売り手は買わずに済みます。

結果、受け取ったオプション料の100円がそのまま利益になります。

・期日後に500円へ下落した場合

市場価格が500円に下落した場合、買い手は1,000円で売る権利を行使するので売り手は500円の価値しかないトマトを1,000円で買わされます。

差額は

「1,000円 − 500円 = 500円の損失」

ですが、プレミアム100円を受け取っているため、最終損益は

「500円 − 100円 = 400円の損失」

になります。

価格が下がれば下がるほど損失は拡大します。

このように、オプションを売る場合、

  • 利益・・・オプション料
  • 損失・・・理論上無制限

と利益は少なく損失が大きい取引であることがわかります。

とはいえ、実際は価格が大きく変動する可能性は少なく、オプションでの利益が出ることがよくあります。

つまり、オプションの売りは「少額の利益を得る可能性が高いが、たまに大きく負けることがある」投資なので、上級者はトータルでみて利益が出るように取引を行っています。

レバレッジに注意

FX取引と同様、オプション取引にもレバレッジの仕組みがあります。

レバレッジは少ない資金でも、倍率を上げる(最大25倍)ことで大きな利益を得ることができる一方で、大きな損失になってしまうハイリスクハイリターンの投資です。

投資に慣れている人であれば利用しても良いかのしれませんが、初心者〜中級者はレバレッジなしで取引を行いましょう。

理解すべきオプション取引の基本ポイント

ここまでオプション取引について解説しましたが、最低限以下のポイントを押さえるだけで取引を行うことができます。

オプション取引のポイント
  • 「権利」を売買している
  • コール=買う権利
  • プット=売る権利
  • プレミアム=最大損失(買い)
  • オプションの売りやレバレッジは上級者向け
  • ヘッジにも使われる

この点に注意して、オプション取引を有効利活用してみましょう!

まとめ

オプション取引は「上級者向けの取引」「難しくてギャンブル要素が強い」というイメージを持たれがちですが、仕組みや取引の流れをしっかり確認すると一気に理解できます。

オプション取引を行うことで損失を最小限に抑えることができるほかリスクをヘッジする手段としても活用できるので、むしろ初心者にも向いている投資といえます。

ただ、オプションの売却やレバレッジの利用は投資の初心者〜中級者が行うと大きな損失を生んでしまう可能性があるので、まずは買いから始めてみましょう。

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