- ケインズ型消費関数
- クズネッツ型消費関数
- 相対所得仮説(デューゼンベリー)
- 恒常所得仮説(フリードマン)
- ライフサイクル仮説
- 流動資産仮説(トービン)
- ピグー効果
消費関数
消費関数といえば、「C = C_0 + cY」を思い浮かべますよね。
この消費関数は「ケインズ型の消費関数」と呼ばれ、平均消費性向は

になります。
基礎消費C_0と限界消費性向cは一定なので、分母のYの大きさによって平均消費性向の値は変動します。
しかし、クズネッツはアメリカの50年間の時系列データを解析した結果、平均消費性向C/Yが安定的であることを発見して、以下のような消費関数を提唱しました。
Y = cY
この消費関数では、平均消費性向C/Y(限界消費性向ΔC/ΔYも)は定数cになります。

つまり、ケインズ型消費関数の平均消費性向は所得の大きさで変動するのに対して、クズネッツ型消費関数は平均消費関数が一定の値になります。
このことから、「ケインズ型とクズネッツ型のどちらが正しいのか」という論争が起こりましたが、
- ケインズ型消費関数・・・短期を対象にしたもの
- クズネッツ型消費関数・・・長期を対象にしたもの
と結論づけられました。
消費関数仮説
ここでは、消費関数の仮説について解説していきます。
難しそうな仮説が登場しますが、これらの説は全て平均消費性向が
- 短期:所得水準の上昇により下落(ケインズ型)
- 長期:長期的には安定する(クズネッツ型)
であることを説明しているものです。
この前提をもとに、各解説を読み進めてみてください!
相対所得仮説(デューゼンベリー)
「アルバイト代が多かった月にたくさん消費をした結果、収入が減った月になっても金銭感覚が戻らず、つい同じようなお金の使い方をしてしまう(なかなか生活水準を下げられない)」
そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
デューゼンベリーは
「人々は今季の所得Yが過去の最高所得よりも相対的に少ない場合でも、最高所得に依存して消費を決定する」
と考えました。(短期間の場合)
これを「相対所得仮説」といいます。

先ほどの例のように、短期的に所得が低下しても過去の最高所得に消費が影響されるので、所得の減少ほど消費は減少しません。(これを「ラチェット効果」といいます)
一方で、所得の変化が長期的になる場合はラチェット効果は薄れていきます。
この関係を式とグラフで表すと、以下のようになります。

- 短期:C = C_0 + cY (短期的にはaYmaxは一定になるため)
- 長期:C=(a + b)Y = cY (長期的にはY=Ymaxになるため)
このように、短期ではケインズ型に近い形になり、長期ではクズネッツ型に近い形になります。
また、ここまでの相対所得仮説を時間的相対所得仮説(モディリアーニは習慣形成仮説と呼びました)といい、「周囲の人々の平均的な消費行動に影響を受けて、自分の消費行動を決定すること(デモンストレーション効果)」を空間的所得仮説といいます。
「クラスのみんながブランド品を持っているから、私も欲しい」
といった消費行動は、空間的所得仮説に当たります。
恒常所得仮説(フリードマン)
例えば教師の場合、教員免許というスキルが必要なので、「どの学校に勤務するか」「経験数がどのくらいか」によって多少変動するものの、教師としての一定の所得を得ることができますよね。
フリードマンは、所得は
- 恒常所得・・・労働者が現在のスキルを前提に将来にわたって稼得できる平均的な所得水準
- 変動所得・・・景気の上下などの外的要因
に分けられると考えました。
これを「恒常所得仮説」といいます。
恒常所得仮説では、短期の場合は
- 景気が良く所得が増える→消費ではなく貯蓄に回す
- 景気が悪く所得が下がる→貯蓄を切り崩す
という行動をとると考えられるので、相対所得仮説と同じように「景気が悪くても安定した消費が行われる」ことになります。
- 短期:C = c(Y ー Yt) (ケインズ型)
- 長期:C = cY (クズネッツ型)
短期の式は「ケインズ型の消費関数」になります。
また、恒常所得仮説の長期の場合は、「時間の経過によってスキルが向上して所得が増える」と考えるので、景気が悪くなってもそこまで消費が下がりません。
ライフサイクル仮説(モディリアーニ、アンドウ、ブランバーグ)
私たちは、はっきりと計算しないものの
「定年まで働くと合計◯◯円の所得になって、老後は毎月△△円使うことができる」
のように、人生全体を考えながら消費を行いますよね?
このように、今後L年生存すると考えたとき、
「T年間の労働により得る所得TY(勤労所得)と現時点で保有する資産Wの和である生涯所得を、毎年均等に消費に回す」
という考えを「ライフサイクル仮説」といいます。

この仮説では、所得は生涯全体を考えて消費に回るので、所得の大きい現役時代にそこまで消費は増えず、所得の小さい老後の期間でもそこまで消費は減りません。
このため、ライフサイクル仮説は「恒常所得仮説をライフサイクル全体に拡張したもの」と考えることもできます。
流動資産仮説(トービン)
「財布にたくさん現金を入れてると、つい買い物をしてしまう」
「ついクレジットカードでネットショッピングしてしまう」
手元にすぐに使えるお金があると、つい消費が増えてしまいますよね。
このように、
「家計の消費は、現在の所得だけでなく、手元にあるすぐに使える資産(流動資産)の多さにも影響される」
とする考えを「流動資産仮説」といいます。
ケインズの消費関数が「C = C_0 + cY」だったのに対して、トービンは以下のように流動資産の要素を付け加えました。

このとき、平均消費性向は

このようになるので、短期(実質資産W/Pが一定)の場合、所得Yの増加によって減少します。
一方で長期の場合、実質資産W/Pが所得Y以上に増加するので

平均消費性向は一定になります。
また、この流動資産仮説は「物価の下落が経済を回復させるメカニズム」を説明する際によく登場します。
世の中がデフレになって物価が下落すると、持っている現金や預金の「実質的な価値(購買力)」が上昇します。(今まで100円で買えていたトマトが50円になれば、手元の100円の価値は実質的に2倍になります)。
物価下落によって実質的な流動資産(L)の価値が増加したと感じると、流動資産仮説のメカニズムによって消費(C)を増やします。
このように、物価下落が流動資産の価値を高め、結果として消費を刺激する効果を
「ピグー効果(実質残高効果)」
といいます。
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