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2章 第5回:有効需要の原理

マクロ経済学講義2章第5回:有効需要の原理 マクロ経済学
この講義の主な論点
  • 有効需要の原理
  • 消費関数
  • 45度線分析
  • インフレ・ギャップ
  • デフレ・ギャップ
  • GDPギャップ

有効需要の原理

有効需要の原理とは、

「供給能力が大きくても、需要が不足していると需要分の生産しか行われない」

つまり

「国民所得は有効需要で決まる」

というケインズ主義による考えです。

総供給は「Ys = Y」、総需要は「Yd = C + I + G + X ー M」で表されます。

有効需要の原理では、国民所得Yは「Ys = Yd」のときである

Y = C + I + G + X ー M

で決まります。

これを「財市場の均衡条件」といいます。

ケインズ型消費関数

ケインズ型消費関数とは、以下の数式で表されます。

ケインズ型消費関数の公式の画像
  • 基礎消費(C_0):所得がゼロであっても、人間が生きていくために最低限必要な消費のこと。
  • 限界消費性向(c):所得が1単位(例えば1万円)増えたときに、そのうちの何割を消費に回すかを示す比率(0 < c < 1)。例えば限界消費性向が0.8なら、所得が1万円増えたら8千円を消費し、残りの2千円を貯蓄に回すことを意味する。

ケインズ型消費関数をグラフで表すと以下のようになります。

ケインズ型消費関数のグラフの画像

また、租税Tが存在する場合は、消費は可処分所得Y ー Tに依存すると考えられ、

ケインズ型消費関数(租税Tが存在する場合)の公式の画像

で表されます。

※ケインズ型消費関数では所得が増加しても限界消費性向は一定ですが、所得全体に占める消費の割合である「平均消費性向(C/Y)」は所得の増加とともにだんだん低下(逓減)していくという特徴があります。

45度線分析のメカニズム

国民所得がどのように決定されるかをグラフで視覚的に捉えるツールが「45度線分析」です。

海外部門を無視した閉鎖経済(封鎖経済)では、

Yd(総需要)= C + I + G

であり、ここに「C = C_0 + cY」を代入すると

Yd = C_0 + cY + I + G

Yd =(C_0 + I + G)+ cY

になり、この式をグラフで表すと以下のようになります。

Ydのグラフ

さらに、総供給の「Ys = Y」と合わせると以下のグラフになります。

Ys=Ydのグラフ

総需要と総供給の交点(Ys = Yd)であるY*を「均衡国民所得」といいます。

完全雇用国民所得と需給ギャップ

完全雇用国民所得と需給ギャップ

先ほど解説した均衡国民所得Y*は、必ずしも望ましい水準であるとは限りません。

国民所得の望ましい水準は「完全雇用国民所得Yf」を想定しています。

有効需要の原理では、完全雇用国民所得が達成されない理由は「総需要の不足」であると考えます。

この

「完全雇用国民所得を達成するために必要な総需要と現実の総需要を比較したときの、総需要の不足分」

をデフレギャップと呼びます。

デフレ・ギャップの解説画像

反対に、

「完全雇用国民所得を達成するために必要な総需要と現実の総需要を比較したときの、総需要の超過分」

をインフレギャップと呼びます。

インフレ・ギャップの解説画像
需給ギャップ
  • デフレギャップ・・・「完全雇用国民所得を達成するために必要な総需要と現実の総需要を比較したときの、総需要の不足分」
  • インフレギャップ・・・「完全雇用国民所得を達成するために必要な総需要と現実の総需要を比較したときの、総需要の超過分」

また、Y*(均衡国民所得)とYf(完全雇用国民所得)の差は「GDPギャップ」と呼ばれます。

計算例題を使った解説

この論点は文字だけだと理解しにくいので、計算の例を使って確認しましょう!

以下のような前提条件のもと、どのくらい「インフレギャップ or デフレギャップ」が発生しているのかみていきましょう。

前提条件
  • 財市場の均衡条件: Y = C + I + G
  • 消費関数: C = 0.8Y + 20
  • (Y:国民所得、0.8:限界消費性向c、20:基礎消費C_0)
  • 民間投資 (I): 30
  • 政府支出 (G): 30
  • 完全雇用国民所得 (Yf): 500
  • 需給ギャップ:ΔY

まずは、財市場の均衡条件である「Y = C + I + G」に、消費関数や民間投資、政府支出の値を代入して、式の最後に需給ギャップΔYをつけます。

Y = 0.8Y + 20 +30 + 30 + ΔY

この式をまとめると

0.2Y = 80 + ΔY

になります。

ここに、完全雇用国民所得 (Yf)の500をYに代入すると

0.2 ×(500) = 80 + ΔY

ΔY = 20

ΔYの値が+なので、今回の例題では20のデフレギャップが発生していることになります。

インフレ・ギャップとデフレ・ギャップの例題のグラフ画像

ΔYの値とインフレギャップ・デフレギャップの関係は、グラフを作成してみると理解しやすくなります。

ΔYの値
  • ΔYの値が+の場合・・・デフレギャップ
  • ΔYの値がーの場合・・・インフレギャップ

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