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2章 第9回:投資理論①

マクロ経済学講義2章第9回:投資理論① マクロ経済学
この講義の主な論点
  • 投資理論
  • 資本減耗
  • 投資の調整費用
  • ペンローズ曲線(投資効果曲線)
  • 割引現在価値

投資理論

投資と聞くと「株式投資」「不動産投資」を思い浮かべるかもしれませんが、経済理論での投資とは主に「設備投資」を意味します。(投資=資本が増える)

例えば、トマト株式会社がケチャップ工場という資本を持っていたとします。

ここで、投資として工場に最新の調理設備を導入した場合、投資した金額分トマト株式会社の資本が増えることになりますよね。

設備投資のイメージ画像

つまり、投資とは資本の変動分(今回の場合は増加分)であることがわかります。

ふぁい
ふぁい

投資のように一定期間中の変数の変動分を表すものを「フロー変数」、
工場や設備のように変数の一定時点までの蓄積分を表すものを「ストック変数」

といいます。

この関係を式で表すと以下のようになります。

投資と資本の公式の画像

また、投資は総需要「Y = C + I + G + X ー M」の項目なので、投資の金額が大きくなると国民所得が大きくなりますが、それだけではありません。

「投資を行うことで設備投資が向上し生産能力も拡大する」ことになるので、供給面にも影響を与えることになります。

このように、投資が需要と供給のどちらにも影響を与えることを「投資の二重性」といいます。(ドーラーが提唱しました。)

資本減耗

工場の設備や車などの機械は、使用回数や年数によって価値が下がっていきますよね。

このように価値が下がっていくことを「資本減耗」といいます。(会計学では減価償却が使われています。)

この資本減耗を含めた式は以下のようになります。

資本減耗の公式の画像

資本減耗は「資本減耗率×資本」で表され、投資(I)から引くことで純投資(資本の増加分)がわかります。

投資の調整費用

設備投資を行う際、設備の購入費用のほかにもさまざまな費用がかかります。

例えば、「設置した設備が正常に作動するまでの期間(懐妊期間)の機会損失」や「設備を稼働するための人員の訓練費用」がかかりますよね。

このような費用のことを「投資の調整費用」といいます。

投資と投資の調整費用の関係を表すものを「ペンローズ曲線(投資効果曲線)」といい、以下のようなグラフになります。

ペンローズ曲線のグラフの画像

このグラフを見ると、調整費用は「投資額の増加に応じて逓増している」ことがわかります。

  • 投資額が1億円のとき→調整費用が0.1億円、合計で1.1億円
  • 投資額が2億円のとき→調整費用が0.4億円、合計で2.4億円

つまり、2億円の投資を行う場合、1回の投資で2.4億円支払うよりも、1億円ずつ2回(1.1億円×2=2.2億円)に分けたほうが0.2億円安く済みます。

投資資金の調達

企業が資金を調達するための手段といえば、金融機関からの借り入れ(間接金融)が一般的ですよね。

また、大きい企業の場合は、株式を発行して資金を調達(直接金融)することもできます。

実は、どちらの資金調達方法も家計の貯蓄が関係しています。

  • 金融機関の場合・・・金融機関の貸し出しの原資は家計の預金
  • 株式発行の場合・・・株主の家計(貯蓄)から直接調達

このように、マクロ経済学において「投資の原資=家計の貯蓄」になります。

つまり

I = S (I:投資、S:貯蓄)

が成立します。

割引現在価値

現金などの貨幣は、株式と違って資産価値が変動するリスクが少ないですよね。

ふぁい
ふぁい

経済学では「資産価値が変動する」ことをリスクといいます。

近年は世界情勢や金利差の影響によって通貨の価値が大きく変動しやすくなっていますが、経済学では「額面が保証されているかどうか」を基準にリスクを考えます。

  • 株式のリスク: 1万円分買った株が、明日には株価が下がって「8,000円」になるかもしれない。(額面そのものが減る)
  • 貨幣の無リスク: お財布に入っている1万円札は、明日になっても「1万円」のまま。(額面が勝手に8,000円に減ることはない)

金利が1%の場合、今年100万円を預けると1年後にはリスクなしに101万円になります。

つまり、リスクなしに金利分確実に価値が上昇することから、現在時点の100万円と将来時点の100万円は同じ価値とはみなされません。

先ほど、「金利が1%の場合、今年100万円を預けると1年後にはリスクなしに101万円になる」と解説しましたが、これを式にすると

100万円(現在のお金) × 1.01(元金+金利1%)= 101万円(1年後の金額)

になります。

ここで、1年後の金額を100万円にしたとき、現在のお金Xはいくらになるのか計算してみましょう。

X(現在のお金) × 1.01(元金+金利1%)= 100万円(1年後の金額)

X = 100万円/1.01 = 約99万円

このように、将来時点(今回は1年後)の100万円は、現在の価値に直すと約99万円になります。

この考えを「割引現在価値」といいます。

投資に関する解説や会計学でよく登場するので、ぜひ覚えておきましょう!

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