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7章 第27回:景気循環

マクロ経済学講義7章第27回:景気循環 マクロ経済学
この講義の主な論点
  • 景気循環
  • 在庫循環図
  • サムエルソン=ヒックス型モデル(天井・床理論)
  • カレツキ=カルドア型モデル
  • リアル・ビジネス・サイクル(RBC)理論

景気循環の基本概念と4つの局面

マクロ経済学において、経済活動は常に一定のペースで成長するわけではなく、好調な時期と不調な時期を交互に繰り返します。

この波のような動きを「景気循環」と呼びます。

景気循環の4つの局面

景気循環の画像

景気循環は、以下の4つの局面を1つのサイクル(1循環)として繰り返します。

  • 景気回復期:景気が底を打ち、上向きに転じる時期。
  • 好況期:経済活動が活発になり、景気が拡大する時期。
  • 景気後退期:景気が頂点(山)を越え、下向きに転じる時期。
  • 不況期:経済活動が停滞し、景気が落ち込む時期。

通常、資本主義経済においては、景気の拡大期(回復期〜好況期)は後退期(後退期〜不況期)よりも長くなる傾向があります。

日本の内閣府は、景気の「山」と「谷」の2つの局面の日付を確定させて1循環を定義しています。

景気循環の4つの種類と原因

景気循環には、波の長さ(周期)とその背後にある原因によって、主に4つの種類が存在します。

期間別に見る4つの波

  1. キチンの波(小循環):約40ヶ月(約3年半)の周期で発生します。主に企業の「在庫投資の調整」が原因です。
  2. ジュグラーの波(主循環):約10年の周期で発生します。機械や工場などの「生産設備の調整」が主な原因です。
  3. クズネッツの波(建築循環):約20年の周期で発生します。住宅や商用ビルなどの「建築投資の調整」によって引き起こされます。
  4. コンドラチェフの波(長期波動):約50年という非常に長い周期で発生します。経済学者シュンペーターが指摘したように、画期的な「技術革新(イノベーション)」が原因とされています。

景気変動の理論モデル

経済学では、なぜ景気の波が自律的に発生するのかを説明するために、複数のアプローチからモデルが提唱されています。

ここでは代表的な理論を紹介していきます。

在庫循環図(キチンの波のメカニズム)

在庫循環図の画像

最も期間の短い「キチンの波」は、企業の出荷量と在庫量の関係から視覚的に理解することができます。

  • 好況期:市場への出荷が増え、さらなる需要増加に備えて意図的に在庫を増やそうとします。
  • 景気の山:景気が頂点に達すると出荷の伸びが鈍り、売れ残った「意図せざる在庫増(過剰在庫)」が発生します。
  • 不況期:過剰な在庫を適正な量に戻すために、生産と出荷を減らします。
  • 景気の谷:在庫調整が終わり在庫が少なくなると、再び需要が回復した際に増産へ転じ、次の回復期へ向かいます。

サムエルソン=ヒックス型モデル(天井・床理論)

サムエルソン=ヒックス型モデルのグラフ画像

経済成長には限界となる「天井」と、それ以上落ち込まない「床」が存在し、その間を景気が循環するという理論です。

  • 景気の天井:労働力が限界に達し「完全雇用」となると、それ以上は経済成長できません。すると成長率が低下し、投資が減少することで景気は後退し始めます。
  • 景気の床:どれほど不況になっても、老朽化した設備を更新するための「最低限の投資(独立投資)」は行われます。この投資が引き金となって国民所得が増加し、再び景気は上昇に転じます。

カレツキ=カルドア型モデル

カレツキ=カルドア型モデルのグラフ画像
  • S=sY:貯蓄関数
  • R:最低限の更新投資のみを行なった場合の投資水準

投資と国民所得の関係を「S字型のカーブ」として描き、景気循環を説明するモデルです。

国民所得が増えると投資も増えますが、資本が十分に蓄積されると逆に投資は減少するという性質を持ちます。

グラフ内にあるa、b、c、dの地点をもとに、景気循環の流れを見ていきましょう。

・a地点

a地点では、「I=S」という財市場の均衡条件が達成されていますが、投資水準Rのラインよりも低く資本量が少ない状態です。(=投資不足)

そのため、投資関数自体が上へシフトして、b地点へと均衡が移動します。

・b地点

b地点はa地点と比べて、投資関数の傾きが大きくなっていますよね。

これは、「わずかな国民所得Yの増加によって投資Iが大きく増加してしまう」という不安定な状態を意味します。

そのため、投資関数が安定しているd地点へと移動します。

・d地点

d地点は安定しているものの、投資水準Rから大きく離れているので、投資そのものが過大な状態になります。(=過大な投資)

そのため、投資関数が下へとシフトしてc地点へ移動することになります。

・c地点

c地点へとやってきましたが、この地点も投資関数の傾きが大きく、わずかな国民所得Yの減少で投資Iが大きく減少するという不安定な状態です。

そのため、a地点へ移動することになります。

カレツキ=カルドア型モデルの循環画像

このように、カレツキ=カルドア型モデルでは過大な投資と投資不足の状態を行き来し、自律的な景気循環が発生します。

リアル・ビジネス・サイクル(RBC)理論

新しい古典派と呼ばれる学派が提唱する、これまでのモデルとは全く異なる視点の理論です。

経済は常にバランスの取れた均衡状態にある(=連続均衡体仮説)と考え、景気変動を引き起こすのは技術進歩などの「実物的な要因」のみであると主張します。

つまり、中央銀行の金融政策のような貨幣的な要因は、実体経済の波には影響を与えないという非常に強い前提を持っています。

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