- 投資の限界効率理論
- 投資の限界効率曲線
- 投資関数
- 投資の利子弾力性
- 投資の限界効率理論(多期間のモデル)
- アニマル・スピリッツ
投資の限界効率理論
投資の限界効率理論
企業が設備投資を行う際、金融機関から資金を借り入れて設備を購入しますが、この借り入れには利息がつきます。
もし、設備投資による収益率よりも借り入れの利息のほうが大きくなってしまった場合、あなただったらどうしますか?
このとき、「収益 < 利息費用」になるので、わざわざ損失を出してまで投資をしませんよね。
また、借り入れをせずに自己資金で投資をする場合でも、「収益<金利による利息」になるので、投資をするよりも預金して利息を受け取ったほうが利益が出ることになります。
このように、「投資の期待収益率 ≧ 利子率(金利)」のときに投資を行うという原則を
「投資の限界効率理論」(ケインズが提唱)
といいます。
投資の限界効率曲線
トマト株式会社は、現在n個の投資計画(I1:工場の建設、I2:新製品開発、・・・、In)を持っていたとします。
そして、この投資計画を投資の期待収益率iの高い順に並べてグラフにします。


このとき、期待収益率iを各投資から得られる限界効率と呼びます。(追加的な投資から得られる収益率)
このグラフを投資の限界効率曲線といいます。
もし市場の金利が利子率r_0なら、トマト株式会社は3番目の投資計画まで実行することになり、利子率がr1に下がると4番目の投資計画を行うことができるようになります。
このように、利子率rが低下すると投資Iは増加するので、投資は利子率の減少関数となります。
投資関数
先ほどの「利子率rが低下すると投資Iは増加する」という関係をグラフにすると、以下のようになります。

投資Iは利子率rの減少関数なので、縦軸に利子率r、横軸に投資Iをとったグラフでは、投資関数I=I(r)は右下がりになります。
このとき、投資関数の傾きは「投資の利子弾力性」を表しています。
- 投資関数の傾きが緩やか・・・投資の利子弾力性は大きい
- 投資関数の傾きが急・・・投資の利子弾力性は小さい
また、同じ投資から得られる収益の予想が高まった場合(景気が良いとき)、投資の限界効率曲線自体が上側へシフトするので、利子率が同じでも投資は増加します。
反対に、景気が悪いとき(不況時)には、投資の限界効率曲線が下側にシフトするので、利子率が同じでも投資は減少します。
多期間の投資の限界効率理論
投資の限界効率理論(多期間のモデル)
投資した設備は、その年だけでなく数十年にわたって収益を生み続けることになります。
例を使って確認していきましょう!
ケチャップを製造しているトマト株式会社(以下:トマト社)は、1億円の投資を行なってケチャップを製造する機械を購入するかどうかを考えています。(市場利子率:3%)
この機械を導入することで、より多くのケチャップを製造できるようになり、新たに年間500万円の利益が発生します。
まずは、この投資から得られる収益の割引現在価値の合計を計算しましょう。(無限等比数列の和の公式)

この公式をもとに計算すると、利子率が3%の場合は以下のようになります。
R/r = 5,000,000 / 0.03 = 166,666,667(約1億6700万円>1億円)
このように、収益の割引現在価値が投資額を上回っていることがわかります。(投資を行う方が効果的)
次に、このとき投資の予想利回り(投資の限界効率i)をみていきましょう。


投資の限界効率iは、投資額Iをちょうど回収するのに必要な収益率になります。
この公式に、「投資I:1億円」「収益R:500万円」を代入すると
10,000,000 = 5,000,000/i
i = 0.05(5%)
そして、投資を実行する条件は、「収益の現在価値の合計R/rが投資額Iを上回っている」ことになります。(収益 ≧ 投資額にならないと投資の意味がありません。)
この関係を式にすると
R/r ≧ I(=R/I) ↔︎ i ≧ r
になり、「投資の期待収益率 ≧ 利子率(金利)のときに投資を行う」というケインズの「投資の限界効率理論」と一致します。
今回の例では「i(5%)≧ r(3%)」になり条件を満たしているので、投資を行う方が効果的です。
アニマル・スピリッツ
先ほどの解説の通り、i ≧ rのときに投資を行うので、r(利子率)が減少すると低い投資の限界効率iのときでも投資できるようになります。
ケインズは、このように論理的なモデルを構築した一方で、
「必ずしも合理的ではないが、将来の収益に対する鋭い判断能力」
であるアニマル・スピリッツも重視しています。
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