- LM曲線
- 取引的動機に基づく貨幣需要L1
- 投機的動機に基づく貨幣需要L2
- 貨幣市場均衡条件
- 貨幣市場の超過需要
- 貨幣市場の超過供給
- 貨幣需要の利子弾力性
LM曲線
LM曲線とは
LM曲線とは、
貨幣市場の均衡を表す国民所得と利子率との間の関係を示す曲線
のことです。
グラフに描くときは、IS曲線と合体させられるように、縦軸に「利子率r」、横軸に「国民所得Y」をとります。

図のように、LM曲線は右上がりの曲線になり、
- 国民所得Yが大きくなると、利子率rが高くなる
- 国民所得Yが小さくなると、利子率rが低くなる
という関係になることがわかります。
名前の由来は、貨幣市場の均衡条件である「貨幣需要(Liquidity preference)= 貨幣供給(Money supply)」の頭文字から来ています。
LM曲線の導出
まずは、LM曲線の導出に必要な
- 取引的動機に基づく貨幣需要L1
- 投機的動機に基づく貨幣需要L2
- 貨幣市場均衡条件
を確認しましょう。
取引的動機に基づく貨幣需要L1

取引需要と予備的需要に基づく貨幣需要L1は所得の増加関数なので、
L1 = L1(Y)
という右上がりのグラフになります。
- 所得Yが大きくなると、貨幣需要L1は大きくなる
- 所得Yが小さくなると、貨幣需要L1は小さくなる
投機的動機に基づく貨幣需要L2

投機的需要に基づく貨幣需要L2は利子率rの減少関数なので
L2 = L2(r)
という、右下がりのグラフになります。
- 利子率rが大きくなると、貨幣需要L2は小さくなる
- 利子率rが小さくなると、貨幣需要L2は大きくなる
貨幣市場均衡条件

貨幣市場均衡条件は
M/P = L1 + L2
です。この式を
L2 = M/P ー L1
に変形すると、先ほどのグラフになります。
LM曲線の導出
これらのグラフを
- 投機的動機に基づく貨幣需要L2(第2象限):左右反転
- 貨幣市場均衡条件(第3象限):180度回転
- 取引的動機に基づく貨幣需要L1(第4象限):上下対称
にして、IS曲線と同じように第1象限にLM曲線を導くと、以下のような図になります。

LM曲線の場合、第4象限→第3象限→第2象限→第1象限の順番で確認していきます。
まずは、第4象限→第3象限をみていきましょう。
・第4象限→第3象限

取引的動機に基づく貨幣需要L1(第4象限)では、国民所得Yが増加すると貨幣需要L1も大きくなります。
第3象限の貨幣市場均衡条件の式は
L2 = M/P ー L1
でしたよね。
第4象限の貨幣需要L1の増加より、この式の右辺にあるL1の値が大きくなるので、L2は小さくなります。
①国民所得Yが増加なる
↓
②国民所得Yの増加を受けて、貨幣需要L1が増加する
↓
③貨幣需要L1の増加を受けて、貨幣需要L2が減少する
次に、第3象限→第2象限です。
・第3象限→第2象限

第3象限では、L2が小さくなりましたよね。
第2象限の投機的動機に基づく貨幣需要L2は、利子率rの減少関数でした。
つまり、第3象限のL2の減少より、第2象限の投機的動機に基づく貨幣需要L2が減少すると、利子率rは大きくなります。
①貨幣需要L1が増加なる
↓
②貨幣需要L1の増加を受けて、貨幣需要L2が減少する
↓
③貨幣需要L2の減少を受けて、利子率rが上昇する
最後に、第2象限→第1象限をみてみましょう。
・第2象限→第1象限

第2象限では貨幣需要L2の現象より、利子率rが大きくなりました。
この利子率の上昇を受けて、第1象限でも利子率が大きくなります。
①貨幣需要L1の増加を受けて、貨幣需要L2が減少する
↓
②貨幣需要L2の減少を受けて、利子率rが上昇する
このように、国民所得Yの増加が、巡り巡って利子率rの増加につながりました。
つまり、先ほどの象限を使った図は、
- 国民所得Yが大きくなると、利子率rも大きくなる
- 国民所得Yが小さくなると、利子率rも小さくなる
のように、LM曲線が右上がりの曲線になることを説明しています。
①国民所得Yが増加なる
↓
②国民所得Yの増加を受けて、貨幣需要L1が大きくなる
↓
③貨幣需要L1の増加を受けて、貨幣需要L2が減少なる
↓
④貨幣需要L2の減少を受けて、利子率rが上昇する
LM曲線の特徴
LM曲線の特徴は以下のようになります。
- 通常のLM曲線は右上がりになる
- LM曲線はマネーサプライの増加で下方に、減少によって上方にシフトする
- LM曲線の左上で貨幣市場の超過供給が、右下で貨幣需要の超過需要となる
- 貨幣需要の利子弾力性が大きいほど、LM曲線の傾きは緩やかになる
通常のLM曲線は右上がりになる

先ほど象限の図を使って解説した通り、LM曲線は右上がりになります。
これは、貨幣市場において、国民所得Yと利子率rには
- 国民所得Yが大きくなると、利子率rが高くなる
- 国民所得Yが小さくなると、利子率rが低くなる
という関係があることを意味しています。
LM曲線はマネーサプライの増加で右側に、減少によって左側にシフトする

IS曲線と同じように、LM曲線のグラフの線そのものが右や左にシフトすることがあります。
その代表例が、中央銀行が行う「金融政策(マネーサプライの増減)」です。
貨幣市場均衡条件「M/P = L1(Y)+ L2(r)」をもとにみていきましょう。
・右にシフトするケース(需要の増加)

中央銀行がマネーサプライを増加したとします。
このとき、貨幣市場均衡条件の式は以下のように変化します。
M(↑)/P = L1(Y)+ L2(r)(利子率rは変化なし)
利子率が一定でマネーサプライM(分子)が増加すると、左辺の上昇に合わせて右辺も上昇しなければイコールになりません。
なので、右辺にある国民所得Yが増加します。
このように、同じ利子率のまま横軸の国民所得Yが増えるため、LM曲線が「右」へシフトします。
・左にシフトするケース(需要の減少)

逆に、中央銀行がマネーサプライを減らした場合をみていきましょう。
このとき、貨幣市場均衡条件の式は以下のように変化します。
M(↓)/P = L1(Y)+ L2(r)(利子率rは変化なし)
利子率が一定でマネーサプライM(分子)が減少すると、左辺の減少に合わせて右辺も減少しなければイコールになりません。
なので、右辺にある国民所得Yが減少します。
このように、同じ利子率のまま横軸の国民所得Yが少なくなるため、LM曲線が「左」へシフトします。
LM曲線の左上で貨幣市場の超過供給が、右下で貨幣需要の超過需要となる
LM曲線の「線の上」は、「貨幣供給M/P = 貨幣需要L」の状態です。
(※貨幣需要Lは、取引需要L1と投機的需要L2の合計です)
まずは、LM曲線の左上側をみてみましょう。

グラフを見ると、「LM曲線の左上側=利子率rが高くなる」ことがわかります。
利子率が高くなると、人々は利息のつかない現金のまま持つよりも債券を買おうとするので、貨幣の投機的需要L2が減少します。
また、左上側では国民所得Yが小さくなりますが、国民所得Yが小さくなると人々の買い物の量が減るので、貨幣の取引需要L1も小さくなります。
つまり、LM曲線の左上側では
- 投機的需要L2が小さくなる
- 取引需要L1が小さくなる
ので、全体の貨幣需要L(= L1 + L2)が小さくなります。
貨幣供給(中央銀行が供給しているお金の量)はそのままなので、「貨幣供給M/P > 貨幣需要L」になります。
この「M/P > L」の状況は、世の中にあるお金(供給)に対して人々がお財布に入れておきたいお金(需要)が少ない状況になるので、貨幣市場の超過供給になります。
次に、LM曲線の右下側をみてみましょう。

グラフを見ると、「LM曲線の右下側=利子率rが低くなる」ことがわかります。
利子率が低くなると、人々は利息が低い債券を持つよりも安全な貨幣を持とうとするので、貨幣の投機的需要L2が増加します。
また、右下側では国民所得Yが大きくなりますが、国民所得Yが大きくなると人々の買い物の量が増えるので、貨幣の取引需要L1も大きくなります。
つまり、LM曲線の右下側では
- 投機的需要L2が大きくなる
- 取引需要L1が大きくなる
ので、全体の貨幣需要L(= L1 + L2)が大きくなります。
貨幣供給(中央銀行が供給しているお金の量)はそのままなので、「貨幣供給M/P < 貨幣需要L」になります。
この「M/P < L」の状況は、世の中にあるお金(供給)に対して人々がお財布に入れておきたいお金(需要)が多い状況になるので、貨幣市場の超過需要になります。
貨幣需要の利子弾力性が大きいほど、LM曲線の傾きは緩やかになる
LM曲線の国民所得Yと利子率rには、
- 国民所得Yが増加すると取引需要L1が増加する
- 貨幣市場の均衡(M/P = L1+ L2)を保つために、投機的需要L2を減らす必要がある
- 投機的需要L2を減らすために、利子率rが上昇する
という関係があります。
このとき、利子率rの低下に対して敏感(弾力的)に反応して投機的需要L2が増える状態(=貨幣需要の利子弾力性が大きい場合)をみてみましょう。
投機的需要L2の増加に対して、バランスをとるために取引需要L1を大きく減らさなければなりません。
取引需要L1が減少することで、国民所得Yも大きく減少してしまいます。

その結果、利子率rが少し低下するだけで国民所得Yが大きく減少するので、LM曲線の傾きは緩やかになります。
また、貨幣需要の所得弾力性が小さい(国民所得Yが減少しても取引需要L1がそこまで減らない)ときにも、LM曲線の傾きは緩やかになります。

極端ですが、貨幣需要の利子弾力性が無限大の場合、LM曲線は水平になります。
これがケインズの「流動性のわな」です。
反対に、利子率rの低下に対してあまり反応がなく投機的需要L2があまり増えない状態(=貨幣需要の利子弾力性が小さい場合)をみてみましょう。
この場合、取引需要L1を少し減らすだけで済むので、そこまで国民所得Yは減少しません。

その結果、利子率rが低下しても国民所得Yがそこまで減少しないので、LM曲線の傾きは急になります。(貨幣需要の利子弾力性がゼロの場合、利子率が低下しても投機的需要は増えず国民所得Yも減少しないので、LM曲線の傾きは垂直になります。)
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